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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第三章 領土回復運動
第29話 金堀攻めと攻城兵器
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せん」

 少し微笑を浮かべながら説明をしていくルーカス。
 やはり人間の本を普段から読み込んでいるのか、落ち着いている。
 むしろ楽しんでないか?

 そういうところは彼のよいところでもあり、悪いところでもあると思うが……。
 まあ、焦って外に出ないほうがいいというのは、ぼくも同意見だ。



 ***



 櫓はあっという間に組み上がった。数の暴力である。
 ここは危険になったということで、魔王は中に戻った。

 完成したものを見ると、高さはそうでもないが太く仕上がっており、弓兵などは乗っていない。
 表現が難しいが、井戸のポンプを巨大にしたような構造になっている。
 距離は……だいぶ離れている。二百メートル程度だろうか。

「マコトよ。あの櫓は巨大な投石器だ。おもりを利用して飛ばす仕組みのものだな。
 この距離の取り方……こちらの魔法の有効射程距離を掴んだ上で、その外側から撃ってくるつもりなのだ。もうすぐここに石が降ってくることになるぞ」

「なんか楽しそうだね」
「ふふふ、私はあのようなものを見るのが生まれて初めてなのでな。マコトも最初の二、三発は見ていくといい」

 隣を見ると、冷や汗を流しながらルーカスをチラチラ見る司令長官メルツァー。
 ぼくもウキウキのルーカスを見ていて少し不安になってきた。
 本当に大丈夫なのかなあ……。



「巨大な石がセットされたようです!」
「攻撃魔法隊は氷魔法の準備をっ!」

 メルツァーが偵察兵に反応して指示を出す。
 その隣には、相変わらず興味深そうに櫓を見ているルーカス。

「司令長官。たとえ明らかに城に命中しないと思われる投石に対しても、必ず迎撃するよう指示をお願いします」
「な、なぜだ?」

「投石の迎撃は初めての経験です。たとえ魔力が無駄でも『慣れ』を重視するべきです。
 もちろん、慣れたところで迎撃率を百パーセントにするのは無理でしょうが。ふふふ」
「……わかった」

 怖……。



「来ます!」

 投石器が動いた。
 攻撃魔法隊が斜め上方向に氷魔法を打ち込む。

 ドン――――!

「うわっ!」

 大きな音がした。衝撃もあった。
 ぼくは思わず尻餅をついてしまった。
 撃ち落とせなかったのか。

「ふふ、さすがに一回目で撃ち落とすのは無理か」

 いや、これやばいんじゃないの?
 思ったよりも石は速いようだ。

「あ……」

 城の景色がさっきとは若干違っていた。
 どうやらここから少し離れた偵察塔に当たったらしい。
 屋根がつぶれている……。

「ふふふ。マコトよ、見たか? 素晴らしい……魔法など使えなくても、人間はこれだけのことができるとい
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