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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第三章 領土回復運動
第28話 リンブルク防衛戦
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続いていたが、それも今回の戦でターニングポイントを迎えるだろう」

 経穴ごとの魔力回復効果を完全に検証することは難しい。
 どの経穴でも効果があるというわけではないようだが、足裏の「湧泉」、下肢の「足三里」、お腹の「関元」「気海」、手のひらの「労宮」などは経験的に効果があると判明している。
 慌てず、騒がず、すみやかに刺激していく。

「今回の戦についてはメルツァー卿やリンドビオル卿の手柄となろうが……。
 魔国冬の時代を支え続けた私の政治が、最終的に訪れるであろう魔国の勝利に最も貢献した――それは誰が見ても明らかだろう。
 私の功績はいつまでも魔国の歴史において燦然と輝き続ける違いない」

 魔力切れの人は次々とやってきている。
 だが今のままのペースなら、ぼくたちが頑張ればなんとかなりそうだ。

 カルラと目が合う。
 目で激励すると、彼女は小さく頷いた。

「ククク、マスコットよ。お前の技術は確かに魔国の役には立った。しかしお前はどんなに頑張ろうともしょせんは人間……お前は私たちの引き立て役でしかない。それだけはわきまえておくがよい。
 今回勝利したところでお前の手柄にはならぬからな。褒賞の配分は私の意見が最も反映される……変な期待は抱かぬことだ」

 ……。

「クックック……せいぜい奴隷らしく見返りのない労働に励むがよいぞマスコット」

 うるせえええええ!!



 ***



 静かになった。

「ククク、人間どもが退いていったようだな」

 宰相を除いて、静かになった。
 塔にも魔力切れの人が来なくなった。

 ぼくは弟子たちに少し休むよう指示し、様子を見るため城壁の上に出た。
 ルーカスと司令長官のメルツァーが座って休んでいる。
 ぼくに気づくとすぐルーカスは手を挙げ、声をかけてきた。

「おお、マコトか。敵はいったん退いたようだ」
「そうなんだ。また来るんだよね?」
「少し下がっただけだからな。次の手を練っているのだろう」

 人間側は、おそらく魔力切れになるまで押し寄せ続ける作戦だったのだと思う。
 しかし魔力が切れる様子が全くないので不審に思い、一度退くことにしたのだろう。

 少し休憩するか――そう思って塔に向かったとき。
 後ろから、声が聞こえた。

「報告します! 人間側に動きがありました!」

 早い。
 もう第二次攻撃を始めるつもりなのか。

「なにやら穴を掘りはじめている模様です!」
「丸太を組んだ櫓のようなものも用意しているようです!」

 ……え。穴? 櫓?
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