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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第三章 領土回復運動
第27話 ルーカス、昇進
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魔王軍の増援部隊は予定通りに王都を出発し、予定通りに現地に到着した。
城塞都市リンブルク。
その名のとおり、町の中心部ごと堅牢な城壁で囲んだ都市である。
今回は情報を早めに掴んでいたため、準備は万端だ。
すでに住民はみな城壁の内側に避難している。
食糧や武器などの必要物資も、すべて中に準備済み。
軍もすでに城壁に配置し終えており、いつでも戦える状態だ。
第二師団、第三師団、第六師団、第九師団の計四個師団。
魔王親衛隊も合わせ約一万三千人での籠城戦となる。
ぼくらの魔力回復チームは、城壁にある塔のところにいる。
城壁の上から魔法攻撃をする部隊を支援する予定だ。
「マコト、がんばろー」
「ええ。がんばりましょう」
相変わらずな、カルラのゆるいかけ声。
今回は弟子たちを全員連れてきている。
せっかく育てている弟子に、もしものことがあったら――そう思うので、ぼくはあまり乗り気ではなかった。
だが、このリンブルクが陥落すると魔国はいよいよまずい。
ルーカスからは「少しでも戦力になる以上は連れていくしかない」と言われた。
仕方がない。
弟子はいずれも優秀だが、まだ施術の魔力回復効果はぼくよりも低い。
特に魔力回復を目的とした戦場での施術については、短時間で最大の効果を出さなければならないので、弟子たちはどうしても不得手となる。
具体的には経穴を使った素早い施術が求められるわけだが、取穴――ツボを正確に見つけること――は経験がモノをいう。なかなか一朝一夕に身に付くものではない。
もしかしたら、一番弟子のカルラでも、まだぼくの半分程度の効果しか出せないかもしれない。
ギリギリまで取穴の指導をすべく弟子たちに練習させていると、見覚えのある初老の男性がやってきた。
「ククク、マスコットよ」
「マコトですって、宰相様」
「どちらでもよいが……魔国に必要なのはあくまでお前の技術であって、お前ではない。少しばかりチヤホヤされたからと言って勘違いするでないぞ?」
そう、今度は宰相も来ている。なぜなのかは全くわからない。
「今回はお前の施術と、お前に強化してもらった兵士がある。そして魔国一である私の頭脳がフル活用できる環境だ。勝てると確信している」
ルーカスはそう言っていた。今回の戦、かなり自信があるようだ。
人間の大軍が、もうすぐやってくる。
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