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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第二章 魔族YOEEEEE
第21話 対決 参謀ルーカスVS勇者
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。顔が全部露出しているわけではないので、わかりづらいが。
 女性、なのか?

 見ると、ひときわ立派な剣を持っている。
 鎧や盾、そして兜にも紋章が付いており、ただならぬ雰囲気。
 勇者とやらだったり……しないことを切に願う。

「ほう、勇者か。まあ、私は魔王軍の参謀なので幹部だな」

 あっさり願いは退けられた。
 やはり勇者だ。
 全身血の気が引くのを感じた。

 ルーカスが手振りで、ぼくに下がるよう合図する。
 そして彼は少し前に出た。ゆっくりと。
 彼が少し前に出た分、勇者以外の四人が後ずさる。

「魔王はいるのか」
「魔王様はもういない。残念だったな」
「……!」

「今回も魔王軍の完敗のようだ。すでに魔王様も、私以外の幹部も引き揚げている。もう今回の会戦は終わったと言ってもいい。お前たちも帰ったらどうだ」
「ふざけるな。目の前に幹部の一人がいて見逃せるわけがない」

 当たり前だが勇者は戦う気のようだ。
 ルーカスは「そうか」とつぶやいた。

「わたしの名はカミラ。お前の名を聞こう」

 勇者は剣を構えたまま、名を名乗った。

「名乗るほどでもない、と言いたいところだが。お前の反応が面白そうなので教えようか。私の名はルーカス・クノール・リンドビオルだ」

 ルーカスのほうは剣を抜かず、悠然と立ったまま答えた。

「リンドビオル……まさか……」
「そうだ。私はお前が殺した将軍、アレクサンダー・リンドビオルの息子だ」

 そう言うと、ルーカスは片手の手のひらを上にして、顔の高さに挙げた。
 この展開、もう何がなんだかわからない。
 ぼくはただ、目の前のやり取りを見ていた。

「五人いるようだが。すぐに私とお前の一対一の、正々堂々とした勝負になるだろうな。あとの四人はこれ≠ナ戦闘不能だろう」

 手のひらの上には何も出ていないように見える。
 これ≠ニはどういうことだ?
 と一瞬思ったが……。

 ヨロイを着ていても、外からの熱を感じた。
 そして、ルーカスが手のひらを挙げている上……
 よりも、もっと上。
 上の空中。

 ……!?

 巨大な火炎の塊が、そこにあった。
 球形ではない。
 燃え盛っているのでわかりづらいが、筋肉質な巨人のような形にも見える。
 左右に飛び出しているように見える火の突起は……ツノ?

「い、イフリート……」

 五人のうち一番右側にいた人間が、震える声でつぶやいた。
 剣を構えてはいるが、ジリジリとすり足で後退している。

 イフリート。
 神話に出てくる火魔神だが……。

 離れていて、かつフルアーマーのはずのぼくの体。
 それでも、ヨロイの隙間からチリチリと焼かれるような感覚
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