暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第二章 魔族YOEEEEE
第22話 ぼくは、人間
[2/3]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
動きが速すぎて反応できない。
絶対にしてはいけないことなのだろうが、目をつぶってしまった。
「うあっ!」
ガキンという金属音。そして首への強い衝撃。
ぼくは吹き飛ばされた。地面に尻餅をつく。
――しまった。兜が。
まともに喰らったためだろう。兜が飛ばされ、横に転がった。
頭を守るものがなくなったが、追撃を防ぐべく立ち上がり、素顔のまま勇者と対峙する。
……が、追撃は来なかった。
「お、お前は……人間……?」
目の色でわかったのだろうか? 勇者の動きが止まった。
「うん。ぼくは人間だよ」
「な、なぜ……」
口元も兜で隠れているため、表情はわからない。
だが勇者は一歩、二歩とジリジリ下がっていく。
明らかに動揺している。チャンスだ。
ぼくは兜を拾い上げた。
「ルーカス! 逃げよう」
ぼくは彼の返事を聞かないまま、彼の腕を取った。
そして背後の、森が深そうな方向へ走り出した。
***
しばらく、森の中を必死に走った。
最初は明るかった景色だったが、徐々に鬱蒼としてきた。
「マコトよ。おそらくもう大丈夫だ。勇者はヤケドの四人への看病もあるので追撃できないだろう」
「うん」
ぼくらは全力疾走をやめ、歩くことにした。
「ルーカス……さっき、魔力切れたんでしょ」
「ふふふ、バレては仕方ない。お前のおかげで助かった。感謝する」
なんでニヤニヤしているんだこの人は……。
彼はずっと治癒魔法班の手伝いをしていた。勇者とやり合ったときは、最初から魔力が枯渇気味だったのだろう。
「魔力がないのにあんな派手な召喚魔法を使うとか。どういう神経してるの」
もっと他に魔法のチョイスがあったのではないだろうか。
さっきのは派手なだけで、エネルギー効率は悪そうな魔法だった。
「む? 召喚魔法?」
「違うんだ? 火魔神みたいな形してたから。イフリートってやつに見えたけど」
「ああ、あれは違うぞ。ただの火魔法だ」
「え?」
「ふふふ、私は魔法の扱いが自由自在すぎてな。私の手にかかれば、炎もあのような美しい姿に整形できるのだ。そして凝縮させたり爆発させることも意のままだ」
「あ、アホや……」
なぜ親の仇を目の前にして芸術性を重視しているのか。
「ふむ。よいところを見せようとして張り切りすぎてしまったかな」
「じゅーぶんに反省してちょうだい……」
やっぱり戦場でも普段の様子と同じだ。少し抜けている。
「しかし、私からするとお前も十分に不可解だったが」
「なんで?」
「人間と戦うことに……躊躇はなかったのか?」
「あー。そういえば、なかったね。なんでだ
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ