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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第二章 魔族YOEEEEE
第19話 牢にて
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「はあああああっ――――!」

 そして最後に仰向けになってもらう。
 膝を立ててもらい、両ひざを胸に付けるようにストレッチする。
 こちらのカンが正しければ、これで多少良くなる気がする。

「どうですか?」
「ハァハァ……あ、少しよくなった。立てる……」

 良かった。カンが当たったようだ。

「キミ、すごいな! 人間なのはもったいない。ぜひ魔族に――」
「それ他の人からも言われましたけど。種族は変えられませんって」

 また種族ショップの夢を見そうだ。



 ***



「で、ルーカス。今回どうするの? まずいんでしょ?」
「うむ。まずいな。私の処分はともかく、戦には魔王様も行くのでな。
 勇者が本陣に突入してきて危機に陥ることがないとも限らない。やはり私が付いているべきだろう」

「どうしよう」
「脱獄するか」
「え?」
「看守よ。脱獄したいので鍵を貸してくれ。これも魔国のためだ」

「そんなことしたら私が罪になります。ご自身でご勝手にどうぞ。どうせあなたならすぐ破れるんでしょ?」
「むむむ、冷たいな」

 ルーカスは、牢にかけられた錠に両手を近づけた。
 次の瞬間。あっさり錠が外れて床に落ちた。
 何をしたのかさっぱりわからなかった。

「いま……何したの」
「今のは火魔法で錠を溶かしたのだ」
「火なんて見えなかったけど」

「金属を溶かすほどの高温の火は、目には見えづらい。一点に集中すればなおさら見えないだろうな」
「ちょっとすごいと思っちゃった」
「ふふふ、私の魔法は魔国一のクオリティだ」
「ハイハイ。それで、ぼくはどうすればいいの」

「お前も来てもらう。すでに施術で魔力回復が早まるというのは証明済みだ。申し訳ないが治療院は戻ってくるまで臨時休業だな」
「わかった」
「……徹夜で働いてもらうことになるかもしれないが。頼むぞ」
「それは望むところ、かな」
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