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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第二章 魔族YOEEEEE
第19話 牢にて
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いたようだ。
大きくのけぞり、そのまま腰が抜けたのか床に崩れてしまった。
「大丈夫か? 初耳ということはないはずだが」
「確かに聞いてはいますが……隣にいたらびっくりしますって……」
「マコト、顔を見せるといい。顔を見れば安心するだろう」
ルーカスがニヤニヤしながらそう言うので、兜を取った。
「どうだ、安心しただろう」
「た、たしかに」
なんでだよ、と心の中で突っ込む。
そして安心したはずの看守だが、立ち上がらない。
「あ……痛っ。な、なんか立てなくなったんですが」
のけぞったときにピキッとやったか。
ぎっくり腰だな。
「治癒魔法をかけよう。格子の前にくるといい」
看守が芋虫のように体をくねらせて、格子の前に移動する。
ルーカスが手をかざした。
「どうだ?」
「……うっ、すみませんあまり変わらないようです」
「ふむ。ではマコト、出番だ。
ふふふ。ここでマコトの施術が受けられるとは幸運だな。人間ではこのようなことを『怪我の功名』と言うらしいぞ」
「うーん……効果があるかはわかりませんが、やってみましょう」
出番だと彼は簡単に言う。
しかし、ぎっくり腰の施術というのはかなり難易度が高い。
世間ではだいぶ勘違いされているが、ぎっくり腰については、多くのケースでマッサージはするべきでないのだ。
ぎっくり腰の原因は、筋断裂、椎間関節の損傷、靭帯断裂など、いろいろなケースがある。
そしてそのいろいろ≠フ多くは、組織の損傷によるものだ。
組織の損傷は「外傷」、つまりケガである。
ケガであれば、マッサージで治すことは不可能だ。
損傷箇所を強く揉んだりしたら、治るどころかますます炎上して悪化する。
ただ。
今回はルーカスが治癒魔法をかけた後である。
それでも取れない痛みとなると、原因は組織の損傷ではない可能性が高い。
さっきの治癒魔法が、そのまま鑑別の材料となっているのだ。
施術で良くなる確率は比較的高いかもしれない……腰椎周辺の筋肉の攣りのようなものなのではないか?
「じゃあ触ります」
いきなり腰は触らない。
横向きのまま、まずは体の正面側。下腹部から骨盤内側、ソケイ部にある腸腰筋という筋肉と、腹筋を施術していく。
腸腰筋は手が滑ると股間をまともに触るので注意である。
「はあぁぁっ、なんかっ、不思議なっ」
「そうだろう? 手に仕掛けはないのだがな」
あとは太もも内側の内転筋。
これも、ぎっくり腰のときは施術すると良いと言われている。
「うあああ――」
そしてお尻と腰。
激しくは揉まず、手のひらをなるべくつけて安心感を与えることを重視する。
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