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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第14話 弟子ができた
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施術用ベッドや床もキレイに掃除されており、準備はバッチリだ。

 弟子となったカルラについては、しばらく受付をやってもらうことにした。
 すでに少し技術は教えていっているが、開院後も空いている時間や営業時間外を使い、どんどん伝授していく。
 もう大丈夫だと判断したら、施術にも参加してもらうつもりだ。

「ふふふ。いよいよか。マコトよ」
「うん。おかげさまで順調だよ」
「さすがはルーカス様の奴隷ですわ、マコト様」
「マコトさすがー」

 相変わらず二人はヨイショが適当である。
 もう慣れたので気にはならないが。

「宣伝はやっておいたからな。期待するがいい」
「ありがとう。助かるよ」
「私は魔族の命運をお前に託している部分もある。頼むぞ」
「そんな大げさな」

 何を言いだすんだか、と思ったが、ルーカスは意外と真面目な顔だった。

「まだお前は村と王都しか見ていない。なのでピンと来ていないかもしれないが。前にも言った通り、魔族は危機的な状態にあるのでな。
 私は魔王軍参謀として、最後までベストを尽くさなければならない。今回のマッサージという技術の導入も、そのベストを尽くすうちの一つだ。
 マッサージによって心身が満たされることで、もしかしたら状況が少しでも良くなるかもしれないと思っている」

「またまたー。さすがにマッサージで流れが変わるというのはないと思うけど」
「ふふふ。変わればよし。そして、万一変わらなかったとしても、それはそれで無駄にはならない」

 ……?

「ごめん、ちょっと意味が」

「ふふふ、マコトよ。お前は苦しんで死ぬことと、安らかに死ぬこと、どちらがいい?」
「それは、まあ。少しでも楽に死ねた方がいいよね」
「つまりそういうことだ」

 ……。
 マッサージという技術を導入すること。
 それは、魔族という種族そのものに対しての終末医療――ターミナルケアとしても最適。

 そう考えているのだろうか? この人は。
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