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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第14話 弟子ができた
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 ちゃぶ台の上を見ると、二人分のお茶が置いてある。
 なぜくつろいでいるのか。

「で、マコト」
「はい?」
「カルラを一番弟子にしろ」
「え?」

 またいきなり……。朝から「?」である。

「リンドビオル卿にはさっき話してあるからな。了承済みだぞ」
「はあ」
「マコトー、ボクじゃだめなの? 一番弟子」

 カルラが両手の指をモゾモゾさせながら聞いてきた。
 その銀髪を、微妙に揺らしながら。

「あーいやいや、全然ダメじゃないですよ。ここまでよく手伝ってくださってますし、ぼくの施術も何度か見てくださってますから」
「わーい」
「ただ、タイミングが今でいいのかなあと」

 開業前に弟子を入れるというのは、通常ではありえないことだ。

「今でいいんじゃないか。開業計画は順調なんだろ」
「ええ、おかげさまで」
「じゃあもう弟子を入れろ。早い段階で入れないと後でお前がきついだろが」
「むむむ。そう言われると確かに」

「じゃあ決まりでいいな。カルラを任せるぞ」
「……はい、ではこちらこそよろしくお願いします」
「うむ。よかったな。カルラ」
「やったー。マコトよろしく」

 手を握られたが、彼女の手が少し湿っていた。
 ぼくが嫌がるのではないかと不安だったのだろうか。
 彼女なら、むしろこちらからお願いしたいくらいなのに。

「しかしなんでまた急にこの話が?」
「こいつ本人の希望だ。興味あるらしいぞ」
「へえ……」

 かくして、熱心な弟子が一人できた。
 魔王には他にも養子養女が沢山いるので、他にも希望者がいれば連れてくるとのことだ。
 もしかしたら急ににぎやかになるかもしれない。

 ルーカスもそう言っていたが、ぼくも子供のほうが人間に対してなじみやすいと思っている。
 この路線は悪くない。

「よし、マコト。そういうことでだ」
「はい?」

「今朝もわたしは魔王城からここまで歩いてきた」
「それはお疲れ様でした」

「魔王城からここまで歩いてきた」
「お疲れ様でした」

「歩いてきた」
「……あの、このやり取りめんどくさいんで。最初から『施術しろ』と言ってくださったほうが」

「死ね」
「あー。わーかーりーまーしーたーって。魔法出すのやめてください」
「お前のせいだ」

「……ぜひ、疲労回復のお手伝いをさせていただけると嬉しいです」
「うむ。よいぞ」

 うざい。



 ***



 治療院開業予定の物件。
 少し前までガランと寂しげな空間だったことが嘘のような変貌ぶりだ。

 施術室と待合室は壁で区切られ、待合室には受付と椅子、施術室にはベッドや荷物置きが置かれている。
 明日の開業日をひかえ、
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