暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第13話 座位での施術
[1/2]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
「今ここでやるということ?」
「そうだ。お前の技術は実際に受けてみることが一番よく理解できる」
「ベッドがまだ来てないけど……」
「ふふふ、ベッドはまだであるが、椅子はすでに納品されている。座った状態でもできるのだろう?」
なるほど。スツールはすでに納品されて端のほうに置いてある。
しかしルーカスも危ない、と思う。
万一ぼくが「座っている状態ではできない」と言ったらどうするつもりだったのだろうか。
……まあもちろん、座った状態でもできるわけだが。
ただ、世間一般の認識とは異なり、座位での施術というのは若干難易度が高くなる。
一般家庭でマッサージというと、座った状態での肩もみをイメージする人が多い。なので、座位での施術が一番やりやすいと考えている人は多いかもしれない。
だが実際は寝ている状態での施術のほうが、やる側はよっぽど楽なのである。
ぼくは椅子をフロアの中央に置いた。
では……「だっぺ」の人からやるか。
椅子に座るようお願いをする。
座った状態で簡単に検査をおこなう。
職人なので仕方ないが、左右差が大きい。肩の高さも明らかに違う。
触ると見事なレベルでコリ固まってしまっていることがわかる。
また、かなり猫背になってしまっているようだ。肩が前に出ている。
「じゃあ、肩の力はなるべく抜いていてください」
だっぺの人のすぐ後ろに立ち、施術を始める。
「ふがああ――!」
「イテッ」
開始するや否や、だっぺの人が絶叫とともに首を後ろにそらし、後頭部がぼくの胸にヒットした。
「ああ、すまないっぺ」
「いえいえ。施術は痛くないですか?」
「大丈夫だっぺ。おめーの手は不思議だっぺ。気持ちいいっぺ」
座位での施術では、受ける側が力を抜くことが困難というところに難しさがある。
肩上部を上から下に押す分には問題はないが、少し背中寄りになると、力のベクトルは後ろから前になる。
そうなると受けている側は、前に倒れないようにと力が入ってしまい、つらい。
それを防ぐため、肩上部より少し後ろを施術する際は、親指以外の四本指をうまく使う必要がある。
さりげなく、押す力へのストッパーとしての役割を持たせるのである。
ぐいっと。
「ふがあ――!」
この人も騒がしい。
「首はあまり下に倒し過ぎないように気を付けてください」
これも重要である。
座位での肩もみの場合、受けている側の首がだんだん下に垂れ下がってくることが多い。
あまり垂れ下がり過ぎると、僧帽筋――首から背中にかけて外側を包むように広がる筋肉――が張りすぎてしまい、せっかくの施術が奥に届きにくくなってしまう。
そして背中の
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ