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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十四話 主人公たちが対面します。
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帝国歴486年6月2日――。

帝都オーディンから遥か数千、いや、1万数千光年の旅程を経た和平交渉使節は、フェザーン回廊を抜けた時点で同盟軍艦船300隻の出迎えを受け、同盟軍宇宙艦隊司令長官のラザール・ロボス元帥の出迎えを受けた。
「え!?ロボスまだいたの!?」
などと世間は驚き騒いだが、もっと驚いたことは、彼がいつの間にか元帥になっていた事である。というのは「向こうが元帥や公爵閣下が来ているのに、こっちの出迎えが大将じゃまずくね?!」という評議会や軍部、外務省の意見が噴出し、結果ロボスは元帥になったのである。まったく皮肉なものである。本人がいかに努力しても敗戦を重ねるだけで元帥になれず、いよいよ退役だというときに、出迎えの箔をつけるためというしょうもない理由から元帥になったのだから。

 もちろん、当の本人が複雑そうな顔をしていたのは言うまでもない。また、今回の帝国和平交渉使節団の出迎えに当たって、軍の階級を一時的に彼らにあわせることにした。すなわち「上級大将」を設けることにしたのである。
 自由惑星同盟の軍制については帝国も承知していることではあるが、頭でわかっていても、例えば上級大将の出迎えに大将が赴けば、あるいは大将が当然のごとく上級大将と対等の交渉者として席に着けば、帝国側としてはあまりいい顔をしないだろうと、配慮したのである。

ロボス元帥の補佐として、ドワイト・グリーンヒル「上級」大将が同行した。なお、政財界からは、ピエール・サン・トゥルーデ議長の代理として、副議長のジャック・アルマン・ボネーが外務委員長ケリー・フォード、そして自派閥の評議員たちを引き連れて対面し、遠路はるばるやってきたこの使節団に歓迎の言葉を述べるとともに、その後の軽い歓迎パーティー席でも慇懃に振る舞った。ブラウンシュヴァイク、リッテンハイムは、内心ほっとしながらも大貴族の長としての鷹揚な態度を、失礼にならない範囲でとり続けた。
 ラインハルト・フォン・ミューゼル大将も随行幕僚の一員としてパーティーに出席したが、どこかつまらない風であった。もっとも彼はそんなことは表立って顔には出さず、同じく随行できていたイルーナ・フォン・ヴァンクラフト大将やフィオーナ、ティアナなどと話したり、旺盛な食欲で料理を食べたりしていた。
(このタルトはいいな。姉上がおつくりになった物には及ばないが、中々美味だ。キルヒアイスや皆に持って帰ろうか・・・・。)
後半は冗談だったが、それほどラインハルトはブリュンヒルトに残してきた皆を忘れることはなかったのである。もう一個食べようかと手を伸ばした時、反対側から伸びてきた手とぶつかりそうになった。
「失礼。」
ラインハルトが謝りながら顔を上げると、東洋系の黒髪をちょっとぼさぼさに伸ばした自由惑星同盟の軍服を着た軍人が瞬きしながら手を
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