第29話『新たな標的』
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
すか?」
「ん?…そうね。貴方が私に1つ情報をくれたのだし、私も貴方に1つ情報を与えることにしましょう。して、内容は?」
スルスルと進む会話に戸惑いながらも、俺は質問をした。
「茜原先輩はうちの部長を…その、どうしてそんなに気にしてるんですか?」
適した表現が思い付かず、随分とストレートな言葉になってしまう。違う答えが返って来ないと良いけど…。
「・・・ああ、そういうこと。まぁ確かに、端から見れば執念深い女に見えなくはないですね。良いわ、話しましょう。簡単に言うと、私とアイツは『幼馴染み』。昔からとても面識が有るから、気にせずにはいられないし…“ライバル”って言うとわかりやすいかしら。今回の部活戦争もそう。私にとっては、部費よりもあいつと戦うことを楽しみにしてるの。ライバルとしてね」
長々とした答えが返って来たため、理解に時間を有した。が、言っていることは一貫している。
『茜原先輩は部長と戦いたがっている』
物騒だというイメージを更に掻き立てるかの様な考えだが、きっとそうだ。
しかし、またも疑問が生じた。
「でも俺を人質にした意味は有るんですか? 正々堂々と戦わないと・・・」
「勝手に2つ目の質問は反則だと思うけど・・・まぁその考えは理解できるわ。簡単なことよ、あいつが私との戦闘を避けられないようにするため。せっかくの機会なのに、戦えないのは残念だもの」
茜原さんは堂々とそう言った。
あれ、この人って思ってたより何か危ない気がする…!? 異常なまでに好戦的だし・・・。
か、考え過ぎだよな…。
「・・・さて、と。もう準備は万端。いつでも来なさいよ」
その茜原さんの声につられ、周りを見渡すと、そこにはいつの間にか3人の見慣れない人らが揃っていた。
全員が白衣を着てることからして、科学部。
しかも4人居るとなると、それは科学部が誰一人として脱落してない事を示している。ずっと隠れていたのか、はたまた──
ガラッ
急に開いた扉の音によって、俺の考えは遮断される。扉が自動ドアな訳も無ければ、風に吹かれて開いた訳でもない。
つまり、開けた張本人であろう人物が、扉の向こうには立っていた。
「面倒くせぇ状況だな、おい」
最初に放たれたのはその言葉。
その一声も、全てを飲み込んだ。
「ったく、ウチの部員に手ぇ出すんじゃねぇよ、光」
「あんたが来たのなら、もう用済みかしらね?」
「なるほどな…安心しろ。そいつを解放さえすれば、俺はお前らと戦ってやる」
部長は余裕だと言わんばかりの発言をする。
しかしその中に一瞬、安堵の表情が見られた。
「あんたの覚悟は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ