第29話『新たな標的』
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話を聞くことにする。
「う〜ん…まずは貴方を捕まえた経緯について説明しましょう。あ、その前に確認なのだけど、貴方って魔術部よね?」
「え? あ、はい」
「そう。じゃああいつとは関わりがあるのね」
茜原さんは不敵に笑うと、俺を見てそう言った。
『あいつ』というのは誰だろうか? この人が3年生という限り、きっと部長か副部長の事だ。それ以外は考えにくい。
「貴方への要件は1つ。部活戦争の間、人質になってもらうわ」
「・・・へ?」
さらっと言われた一言。だが、その中身に重大な単語が含まれている事に俺は気づいた。
「“人質”ってどういう事ですか?!」
「そのまんまの意味よ。貴方は魔術部に対しての人質になってもらうの。私達が奴らを負かすための」
人質…。これはえらい役になってしまった。これで魔術部が負けたら、完全に俺のせいじゃん。
話を聞こうだとか思っていられないな。早いとこ脱出しないと。
「逃げ出そうなんて、馬鹿なことはしない方が良いわよ。今は黙っているけど、本気を出せば貴方なんて簡単に殺れるんだから」
茜原さんの眼がメガネと共にキラッと光る。思わず、ビクッと反応してしまった。
『部長』だけでなく、『学級委員』とかいう肩書きも持ってそうだ、この人。でもってちょいと物騒…。
「わ、わかりました。大人しくしてます…」
「う〜ん。その言葉が本音かは測りかねるけど…まぁ良いわ。・・・そうだ。あいつがここに来るのはまだだろうし、ちょっと質問をいいかしら?」
茜原さんがそう俺に訊く。変に抵抗するのも危険そうなので、俺は頷いて応じた。
「あいつ・・・じゃない、黒木が使う『黒い電気』が有るじゃない? 貴方、その原理ってわかるかしら?」
突発的な質問に、俺の頭は数秒間停止する。どうしてそのことを知ってるんだ。
茜原さんが訊いてきたあいつとは黒木・・・つまり部長だ。そして部長の黒い電気というと、魔術である『夜雷』の事に他ならない。
…で、その原理? 何でそんなの訊くんだ?
「魔術」と答えれば早いだろうけど・・・さすがにダメだよな。
「使っているのは見たことが有ります。でも原理とか…そういうのはイマイチ──」
「そうわかったわ。・・・部員にも秘密にしてるってことね…」
俺の言葉を最後まで聞くこと無く、茜原さんはそう言う。そしてブツブツと、何かを呟きながら考えていた。
…掴みどころがない。この人と対話してわかったことだ。
自分のことをほとんど明かさず、情報だけを訊いてくる。何かの捜査か、と疑いたくもなってしまう程だ。
…俺も、質問して良いかな。
「あの、俺からも1つ良いで
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