第29話『新たな標的』
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残り時間は1時間位。人数もだいぶ減り始めた。
そんな中で出会うのは、当然柔道部や剣道部といった猛者ばかり。俺は別に問題ないのだが、魔術部の他の連中が気になる。
もしあいつらがやられて、俺もやられたら部費は半減。そうなると、俺の目的が達成できなくなる。
そこで、俺にはある決断が課せられた。
『理科室に行く』
『理科室に行かない』
こういう選択肢になる経緯だが、とある部活の影響である。あの部活はかなり厄介だ。まだ生き残っているに違いない。
そこで、あの部活の殲滅に向かいたい。
しかし、俺1人ではそれは難しいだろう。それだけの手練が居るのだ。成功するかは五分五分といったところ。
だからこそ、あいつらにはまだ生き残って貰いたい。俺がある程度そこで部費を手に入れてやられた時、あいつらの誰かが生きてくれていれば、俺の分が半減するだけで済む。
『俺が一人で“捨て駒”として攻める』
これが今この状況で一番の策だろう。
潮時ってやつか。相討ちでも何でも良いから、あの部活を討ってこよう。
*
「…ん」
眠りから覚め、目を開ける俺。
まず目に入ったのは、誰も居ない無機質な教室の中の景色。そして遅れて、そこが理科室だということに気がつく。
「何でここに…って!」
椅子に座っていたので立ち上がろうとした瞬間、体が強制的に引っ張られ、思い切り椅子の背に背中をぶつけてしまう。理由は両手を見てわかった。
「何で手錠なんか…」
俺は今背もたれのある椅子に座っており、そして背もたれの後ろで両手が不自由になってるという状況だ。
もちろん、自分で手錠をはめるなんて器用なマネもできないので、誰かがやったのは明白。
たぶん、やったのは俺をあの時眠らせた・・・
「起きたようね」
不意にそんな声が聞こえた。
声のした方を向くと、ニッコリと笑みを浮かべる女子が居た。名札を見てみると、3年生だとわかる。
「『どうしてこんなマネを?』とでも言いたそうな顔ね」
続けて彼女が言った言葉…全くその通りだ。
俺は今、絶対にそんな表情をしている。この状況をいち早く解説してもらわないと気が済まない。
「ええ何も言わなくて結構。それよりも、まずは自己紹介をしておくわ。私は科学部部長、“茜原 光”。以後お見知りおきを」
科学部? そういえばそんな部活が有った気がする。
お、そう聞いたらこの人の容姿ってピッタリな雰囲気だ。
メガネをかけ、腰まで掛かる程の長さであろう黒髪を頭の後ろで束ね、白衣を着て・・・って、完璧だろう。
──いや、今は関係ないことか。
とりあえずこの状況など諸々含め、
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