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Three Roses
第十四話 同じ父を持ちその一

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                 第十四話  同じ父を持ち
 マリーは側近達に彼女の部屋で話していた。
「マリアとセーラも去り」
「はい、今この国に残っているのはお二人だけです」
「マリー様とマイラ様だけです」
「お二人だけです」
「そうなりました」
「そうですね」
 マリーも側近達の言葉に頷く。
「だからこそ」
「王家の歴史とはです」
 ここでロドネイ公が言うことはというと。
「血塗られた歴史でもあります」
「どの王家でもですね」
「はい、玉座を巡って互いに殺し合う」
「そうした話はどの国のどの王家にもありますね」
「ひいては権門ならばです」
 貴族達にしてもというのだ。
「こうした話は常です」
「主の座を巡って殺し合う」
「陰謀は常です」
 その中には暗殺もある、そうして人知れず命を落とした者が多いのもまた王家の歴史というものだというのだ。
「ですがそれでもです」
「仲がいいことはですね」
「それが第一です」
 まさにというのだ。
「最良なのです」
「だから私も姉様と」
「出来るだけです」
 ロドネイ公はマリーに強い声で言った。
「親しくなられて下さい」
「今以上にですね」
「今はあまりにも疎遠ですので」
 それ故にというのだ。
「今よりも遥かにです」
「親しくなるべきですね」
「何といってもです」
 グラッドストン大司教もマリーに言ってきた。
「今は王家でのお二人のです」
「姉妹ですね」
「はい、たったお二人の」
「それ故に」
「出来ればマリー様とマイラ様が」
「互いにですか」
「手を携え合い政をされれば」
 それでというのだ。
「国は満足に収まります」
「私と姉様が共にあれば」
「マイラ様も非常に聡明な方です」
 その深い学識と思慮は広く知られている、ただ視野が狭く信仰心があまりにも強過ぎるとも言われている。
「そしてマリー様もまた、ですから」
「だからこそですね」
「お二人が共にあれば」
 まさにというのだ。
「王家は両輪を得たことになり」
「満足に動きますか」
「左様です、ですから」
「私達は共にあるべきですね」
「親しくなられ」
 大司教もこう言うのだった。
「そうあるべきです、ですから」
「その通りですね、では」
「マイラ様のお近くには近頃旧教の諸侯が多くおられますが」
 デューダー卿はその見事な髭に手をやりながら話した。
「しかしです」
「その諸侯達の中にはですね」
「私と懇意で融和的な方も多いです」
 だからだというのだ。
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