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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第9話 見えない力
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と、スポッと兜を外した。
「あらま。大丈夫なのかな」
「まあ、私もいることだしな。外ではまだ危険だ。特製シャツの完成を楽しみに待つがよい」
カルラにジロジロ見られている。
「……にんげん」
「わかるんですね。そうです。ぼくは人間です」
「ふーん」
頭をワシャワシャと掻き回された。
手が小さい。まだ小さい子の手なので、触られた感じが猫の肉球のようだった。
そしてほっぺを両手で横に引っ張られる。
「痛いです」
「かわいい」
幼女が二十一歳に向かってかわいい……だと……?
「カルラ様はまだ小さい。人間にもそこまで嫌悪感がないのかもしれない」
カルラが昇降機で上がっていくのを見送ってから、ルーカスがそう言った。
「そうみたいだね」
「……これから植えつけられることになるのかもしれないがな」
そのあたりは三十年も戦争をしている以上、仕方がないと思う。
「あ、カルラ様といえば。魔王様はずいぶん若く見えたんだけど、カルラ様は実子じゃないってこと?」
「ふふ、カンがいいな。『魔王』である者は基本的に実子を持たない習わしがある。何かの弾みで実子ができたとしても、よその名家に養子に出してしまって手元には残さない」
「へー」
「その代わり、いろいろな名家から養子養女を取り、小さいころから魔王様のそばで帝王学を学ばせるのだ。そしてその中で最も実力のある者が魔王となる。
まあ、つまりは『魔王を血だけで選ぶことはしない』ということだ」
「実力主義というわけだね」
あの魔王も実力はあるということか。
魔王としての実力……それが何かはイマイチわからないが。
容姿とかそれ系のくだらないものでないことを心から祈る。
「そうだな。実力主義と言ってよいと思う。養子養女として入った順番も、継承の上では特に関係はない。まあ前に言ったとおり、カルラ様は七番目の養女だ」
「なるほど」
「ふふふ。つまり幼女の養――」
「ハイハイすっごい面白いです」
「むむむ。人間はこのような冗談を好むはずだが」
「ま、嫌いってわけじゃないけどね。ルーカスは好きなの?」
「私は、好きというよりも、人間が『笑い』を大切にしていることに注目している」
「また人間研究の一環ってやつだね」
「ああ。人間では笑い専門の職業がある。だが魔族にはない。この差に注目するのは研究家として当然だ。笑いには、見えない素晴らしい力があると考えている」
たしかに、笑いは生きる力になると聞いたことはある。
例えがよいのかどうかはわからないが、お笑い番組で笑っているうちは死にたいなんて思わないはず。
見えない力がある――それは本当かもしれない。
マッサージだって、受けて
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