第48話
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魏軍はその岸に重装歩兵を並べ、上陸してくる陽軍を盾で押し返す戦法だ。
苦労して上陸に成功したとしても、後列に待機させていた歩兵達の槍で突かれる。
それでも陽軍は数を力に上陸。次々に、後に続く味方の為の上陸拠点の構築に成功した。
問題はそこからである。拠点を確認した魏将達は、指揮を副官に一時譲渡して突貫、溜め込んでいた力を爆発させるが如く、瞬く間に拠点を潰していった。
その後、穴の開いた箇所に戦力を補充して後退。自軍の指揮に戻るのだ。
「あの敵将達を何とかしない限り、渡河は難しい。いま陽側で動ける将は私と猪々子だけだ。
それに仮に乗り込めたとしても、素直に一騎打ちに応じてくれるとは思えん。
今日は痛み分けだな」
「さて、それはどうでしょうか」
「……? この期に及んで打開する何かが?」
「ねねにはわかりません――が、師匠達がこの状況を想定していないはず無いのです」
「だが、余程の物を用意しない限りこの状況は……―――ッッ!?」
「急報! 陽軍の船が橋に変わりました!」
「そんな……!?」
物見の報告で河に目をやると、いつの間にか橋が架けてあった。
「……ッ、小船の盾を!」
その正体は、小船に添え付けられていた矢避けの木板である。この橋こそが船団の目的だ。
上陸を開始し、拠点を設置したのは囮。その影で、小船に残っていた人員が木盾を外していき、板として繋ぎ合わせ、数千の小船を土台に橋として作り上げたのだ。
「この発想、貴方のお友達かしら?」
「……恐らくは」
華琳に返事を返しながらも、郭嘉は橋について思案する。
矢で貫けない辺り強度は確かなようだ。足場の安定感は悪い、騎馬で渡る事は出来ないだろう。
橋設置にあたり、陽軍の攻めを難しくしていた段差が無くなったのも大きい。
そしてなにより――
『オオオオォォーーーーッッ!』
「敵、猛攻、来ます!」
戦力差が発揮出る攻めを可能にした。
「止むを得ません。投石機を一基、あの橋に――」
「大炎に動きあり! 大橋を渡り始めました!!」
「ッ!? 全ての投石機で動きを止めて下さい」
郭嘉は橋を渡る大炎を睨んだ。彼等は投石機の動きを察知して進んだに違いない。
事実、大炎の進行速度は非常にゆるやか、わかりやすい脅しである。
投石の目標を変えるには、折りたたみ式により落ちた射程を補うため、投石機自体を動かす必要がある。それをすれば大橋側の投石が弱まり、大炎に突破する隙を与えてしまうだろう。
「……」
未だかつて、これほど鶏冠に来る牛歩戦術があっただろうか。
このまま岸を放っておけば、人数差
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