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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第7話 魔王をモミモミ
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勢に戻った。

「あの。魔王様、もう一つお願いがありまして」
「なんだ?」

「この奴隷ですが、異世界でマッサージ師という特殊な職業についておりました。
 その技術は体を治癒させるものでありますが、治癒魔法の欠点をうまくカバーでき、現在の魔族にとって極めて有用と考えます。
 つきましては、奴隷の身分のまま王都で開業をいたしたく……」

 魔王の表情は、大して興味もないという感じだ。

「ふーん。よくわからないけど、まあ別にいいんじゃないか。勝手にしろと思うが」
「ありがとうございます」
「で。ここに連れてきたってことは、わたしにも実演するということでいいのか?」

 ……。
 そんな話は聞いていないが、この流れはやらざるを得ないだろう。
 ルーカスとマネージャーを称する人が、慌ただしく敷物などの準備に入った。



 ***



「じゃあ、ヨロイを着けていると施術しづらいので脱ぎますね」

 ルーカスに手伝ってもらって脱ぐ。やはり軽装はいい。

「なんだお前、ガキじゃないか」
「魔王様、見かけはこうですが、技術は間違いないと思います」
「ふーん。マスコットかと思ったぞ。もっと達人臭いジジイを想像してた」
「……」
「名前は?」
「マコトです」
「ふーん」

 なんだ「ふーん」って。



 準備ができた。

 すでになんとなくは掴めている。
 この魔王はさっき話していたとき、ずっと右足を上に組んでいたままだった。そして左肘を肘掛けに置き、頬杖を付いていた。座り方も浅い。
 これは体が歪むはずだ。腰、背中、肩、すべてこるだろう。痛みが出る可能性もある。

 長引くとキレられそうなので、魔王の体を素早く検査することにする。

「じゃあ、触りますので薄着になってください」
「触らないとできないのか? あまり人間に触られたくはないが……仕方ないな」

 上を一枚脱ぎ始める。更衣室はないようだ。
 脱ぐときに大きな胸が引っ掛かってプルンとなった。

 さて。
 頸椎から下方向に背骨をなぞってみる。
 やはりわずかに曲がっていた。オーバーに言えばCの字形である。

 すでに予想はついているが、骨盤も包むように触って確認する。
 やはり右上がりだった。

「次は筋肉の付き方を確認します」
「いちいち言わんでいい」
「あ、はい」

 脊柱起立筋をはじめとした背中の筋肉の付き方を、両手を滑らせるようにして確認する。

「……っ」
「え?」
「いや、なんでもない。続けろ」
「あ、はい」

 魔王の体は華奢であるが、肉感はしっかりある。体はやはり若い。
 だが姿勢の影響か、右腰にある腰方形筋の緊張が強く、左右差が大きくなっていた。肩
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