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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第7話 魔王をモミモミ
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「というかわたしの部屋、百階とか高すぎじゃないか? 一階じゃないとめんどくさがって誰も会いに来ないだろ。おかげで暇なんだよ、こっちは」
「しかし魔王城は最後の砦となりますゆえ、攻め込まれたときのことを考慮すれば悪くはありますまい」
「魔王城まで人間が攻め込んできている時点で、もう負け確定だろが」
「……おっしゃるとおりで」

「で、隣のヨロイは誰なんだ」
「はい。これが今回のご報告です。先日、レンドルフ村の西にある砂漠で、人間を一人発見しまして」

「なんと、人間がそんなところにいたのか」
「はい。この大陸の人間ではなく、異世界の者のようです」
「ほう。異世界とな」
「その者を捕らえまして、わが家の奴隷といたしました。ここにいるのがその者です」

 魔王は顎を少しいじった。

「お前は相変わらず変な奴だな……。まあ、お前のオヤジには世話になったしな。個人が入れた奴隷なら、別にわたしが口を出すことでもない。構わんよ」
「ありがとうございます」

「おい、ヨロイ」
「はい」
「人間ということなんでな。一発殴らせろ」

 魔王は座ったまま、右手の手のひらを天井に向ける。
 その手のひらの上、空中に、何やら塊が出来始めた。

 氷……。魔法だ……!
 それはどんどん大きくなっていき、同時に整形されて横倒しの氷柱形となった。差し込んでいる光を反射して、怪しく光る。

 え、これヤバいんじゃないの?
 ルーカスのほうにヘルプを求める視線を送る。
 彼はぼくの視線に気づいたのか、こちらを見て軽くうなずく。

「ヨロイがあるので大丈夫だとは思うが……歯はくいしばっておけ」

 助けてはくれないようだ。
 魔王の手がヒョイと動く。
 その直後、ぼくは氷柱に吹き飛ばされた。

「ぐああぁっ!」

 確かにこのヨロイ、かなりの衝撃を吸収してくれた感じはある。
 だがすぐには立ち上がれなかった。

「ぐ……」

 起き上がろうとしたが、失敗してまた崩れた。
 肋骨、ヒビが入った気がする……。

「おいマコト、大丈夫か」
「いや……あまり…………ごほっ」
「少し待っているがよい。治癒魔法をかける」

 ルーカスがヨロイの隙間に手を入れる。
 アッー……と言っている余裕はない。

 お。胸の痛みが消えた。
 これが……治癒魔法か。

 ……。
 ……これ、どうなんだ?

 確かに、「ああ、修復されているな」というのは感じる。
 が、癒されているという感覚はない。
 なんなのだろう。この得体のしれぬ禍々しさは。

「マコト、立てるか?」
「うん。大丈夫。ありがとう」

 魔王が冷笑している。
 ぼくとルーカスは、ふたたび片膝を立てて座り、謁見の姿
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