暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第6話 時をかける幼女
[1/3]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
王都は正式名称をミッドガルドというらしい。
どこかで聞いたような名前だと思った。
なんとなく魔国にふさわしくない響きである気がしたが、具体的にどうふさわしくないのかまでは思い出せなかった。
ルーカスの説明では、高い城壁に囲まれた城塞都市になっているとのこと。
王都は広いので、城塞の外側にも農地や邸宅は広がっているが、万一戦になっても、全住民が城壁の内側に入れるくらいの広さがあるそうだ。
なお、魔王城は高さが地球換算で八百メートル以上あるようで、王都到着前にその姿は馬車から見えていた。
偉容としか言いようがない。
ドバイにある世界一の超高層ビル、ブルジュ・ハリファを実際に見たことがある人以外は、誰もがビックリだろう。
外の城壁に到着した。
ぼくの恰好はどう見ても不審者だと思う。
だが、一緒にいるのは軍の参謀である。不審な外見だけで突っ込まれることはなく、門番には「お疲れ様です」と普通に挨拶された。
門のところで、ルーカスは何やら手続きがあるらしい。
「少し待っているように」
そう言われたので、書類を書いているルーカスと、それに付き添っているメイド長を、城門の少し内側に入ったところから眺める。
彼の部下たちも、ぼくから露骨に離れたところで待機していた。
ここまでずっと心配していたが、門番の反応などを見ていると、どうやらぼくが人間であるとバレることはなさそうである。
少し安心した。
このあと魔王に挨拶して、奴隷入りを正式に認めてもらい、あとはルーカスがきちんと周知すれば。
堂々とまではいかないだろうけど、街を歩いても大丈夫になるのではないか。
「あの、ヨロイさん」
ん。
その高めの声がした方角を見る。
誰もいない、と思ったら、下にいた。
小さい褐色肌の女の子……というよりも、見かけは幼女に近い気が。
「ヨロイさん、魔族じゃないでしょ」
いきなりバレた。
「……」
女の子はパッチリとした赤黒い目を光らせ、こちらを見つめている。
門を通ってきた風が、二人の狭い隙間を通り抜けた。
彼女のショートカットの銀髪が揺れる。
これは……どうすればいいのか。
魔王に会う前に正体がバレて触れ回られてしまうと、順序が狂ってしまう。
むむむ。
やはり口止めしないとまずいだろう。
少考の末にその結論に達し、しゃがんで目線を落とし、女の子に合わせる。
「確かにそのとおりなんだけど。ぼくはルーカスの、リンドビオル家の奴隷なんだ。だからみんなに言いふらすのはやめてもらってもいいかな。騒ぎになると彼に迷惑がかかるんだ」
「ルーカスのどれいなの? でも鎖につながれてない」
「え?
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ