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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第6話 時をかける幼女
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あー、これはちょっといろいろあってだね。つながれてないんだけどちゃんと奴隷だよ」
この褐色の女の子は、ルーカスのことは知っているようだ。
「んーよくわからないけど、ヨロイさん悪いひとじゃないんだ?」
「一応そのつもりだけど」
「そうなんだ。ボク悪いひとかもしれないと思ってた」
「まあ外見がこうだからね。あはは」
そう言うと、彼女は笑顔になり、しゃがみこんでいるぼくの頭の上に手を伸ばした。
兜を付けているのでわかりづらいが、どうも頭を撫でられている模様である。
「ヨロイさん、疑ってごめんね」
「大丈夫だよ。気にしてないから」
「誰にも言わないから安心して」
「ありがとう」
ふー、助かった。
「あ! カルラ様!」
ルーカスの部下がこちらに来た。
気づくの遅いよ……。
「おやおや、これはカルラ様ではありませんか。おひさしぶりです」
「あらカルラ様、おひさしぶりです」
ルーカスとメイド長も戻ってきた。
この褐色の女の子は、カルラという名前であるようだ。
みんな様付けで呼んでいるということは、偉い人の令嬢なのだろうか。
「またフラフラ外出されているのですか。怒られますぞ」
「おこられてもいいもん。外のほうが楽しいし」
「ははは。相変わらずですね。ここで何をされていたのです?」
カルラ様と呼ばれた女の子は、ぼくの兜のツノを少し揺さぶって答えた。
「このヨロイさんと話してた」
「ヨロイさん? ああ、マコトのことですか」
「ヨロイさんはマコトっていう名前なの? 変なの」
「う、変なのか……」
「珍しい名前だからな」
「フフ、わたくしは嫌いではありませんわ、その名前」
ルーカスとメイド長がそう言って笑っていると、「あ! いた!」という声とともに、数名の男が寄ってきた。
「カルラ様、勝手に護衛なしで外出されては困ります……あ、リンドビオル卿。戻られてらっしゃったのですね。お疲れさまでございます」
どうやら連れ戻しに来た護衛さんのようだ。
一人が彼女の片腕をつかみ、「さあ帰りますよ」と言った。
「じゃあボクいくね。みんなまたね」
「お気をつけて、カルラ様」
「マコトもまたね」
「はい。お気をつけて」
みんなに様付けされているようなので、ぼくも丁寧な言葉遣いに変更しておいた。
女の子は笑顔で手を振って、走り去っていく。
「あのさ、ルーカス」
「ん?」
「ぼくが魔族じゃないって、あの子に速攻でバレたんだけど……」
「なるほど。カルラ様は変なところでカンが鋭くてな。バレてもおかしくはないな」
「もーびっくりしたよ」
「ふははは」
「様付けしていたようだけど。あの子は偉いところの令嬢なの?」
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