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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第5話 王都へ、出発
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……好きなの?」
「ああ、お前には先にはっきり言っておいた方がよいだろうな。好きなわけではない」
「好きじゃないのに人間研究家なんだ」
「ふふふ、すべては魔国と魔王様のためだ。悪く思わぬようにな」
「別に悪くは思ってないよ」
ルーカスは微笑を浮かべながら「それならよいのだが」と言った。
こちらは別に気にはしていない。
まあそうだよね、と思っただけだ。
「暇だから他にも質問があれば答えるぞ」
「じゃあ聞こうかな」
「なんだ」
「魔族は魔法が使えるのに、なんで連戦連敗なの」
「ふふふ、それは良い質問だ」
「……?」
「種族として人間よりも弱いからだ」
彼はサラッと答えた。
ぼくはその場にいた全員の表情を確認してしまった。
メイド長は表情を変えていなかったが、向かいの二人と隣の一人の部下は眉間に皺を寄せて微妙な顔をしていた。
「まさかの答えだなあ」
「まあ、聞くがよい。まず個体数が違いすぎるのだ。一対一であれば、さすがに並の魔族が人間に負けることはない。だが三人同時に相手をすれば難しいだろう。まともに戦っても数で押し切られるわけだ」
「へえ……」
「あとは我々があまりに人間を知らなさすぎる、ということがある。人間は敵だが、まず敵を知らなければ戦には勝てない。わからないものと戦っているから勝てない」
「フフ、『彼を知り己を知れば百戦殆うからず』とおっしゃっていましたよね」
「おお、そうだシルビア。よく覚えているな。さすがだ」
「ウフフフ」
この掛け合いでは部下の表情は変わらない。
まったく反応しないのは少し面白い。
さすがにもう慣れてしまっているということで、スルーが定着しているのだろうか。
「あ。そうだ、勇者っているの?」
ふと思い出したので聞いてみた。
魔王という言葉が出ていたときに、少し気になったことだ。
「ほう、知っているのか。まあ、そのような称号で呼ばれている人間はいるな。
残念ながらあまりこの国の要人は重要視していないが、人間の中では高い能力を持ち、士気への影響を考えれば戦の趨勢を握っていると言ってもいい。戦争には毎回出てきている」
「へー、やっぱりいるんだ。なんで重要視しないんだろうね」
「そのあたりは頭の痛い話だな」
ルーカスがぼくから視線を外した。
「今のところ、私しかまともに人間のことを調べようとする者はいない。残念なことだ」
視線の先は、ぼくのすぐ横にできているスペースの窓の外。
ここにきて笑顔が消え、どことなく寂しげな顔にも見えた。
「もちろん魔王様は暗愚な方ではない。とても偉大なお方だ。
だが敵である人間の怖さをよく理解されているかと言えば、もしかしたら、まだ不十分な
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