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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第4話 事情
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日本では一度、開業を経験をしている。
保健所への登録が必要なので、何度も足を運んで相談し、開設の届出をした。
税務署にも開業届を出し、そのほか備品を揃えたり、事業計画を持って銀行へ融資の相談にいったりと、一通りのことはやっている。
しかしここは異世界。しかも魔族の国である。
昨日飛ばされて来たばかりなので、ぼくはこの国のことをよく知らない。
当然、何をすればよいのかわからない。
資金についてはこのような話を振ってくる以上、ルーカスが出してくれそうな感じはあるが……。
ここでは前例がないことをやっていく大変さもあるだろうし、ぼくが人間であることも大きな障壁になりそうな気もする。
今は想像するしかないが、一筋縄ではいかないはずだ。
それでもルーカスが急いでの開業を勧める『事情』。
それは何なのだろうか。
<i7644|38674>
「で、その『事情』とは……?」
ぼくはルーカスにその中身を聞いた。
なお、いま目の前の応接間のテーブルには、カップスープが置かれている。
最近人間の国で開発されたというものだ。ルーカスはこれが大変好みらしい。
メイド長が持ってくる時にわざわざ説明してくれていた。
魔国は大陸の南西側なのでかなり離れていることになるが、大陸の南東に小さな島国があるのだそうだ。
そこはドワーフの国であり、魔族に対しても人間に対しても中立らしい。
ルーカスはそこを通してスープの製法を入手したとか。
コーンの良いニオイがする。
まあ、これが置かれている時点で話が長くなるというニオイもするわけだが。
「実は……魔国はこのまま行くと近い将来、人間に滅ぼされそうでな。お前にこの国の力になって欲しいのだ」
「は?」
もっと軽い話かと思っていたので、驚いた。
「ネタじゃなくて?」
「ああ、本当だ」
「フフ。ルーカス様は嘘をつきませんのよ」
「そうだ。人間の国でも『コメディアン嘘つかない』と言うだろう」
メイド長がサッとメモを取る。ルーカス人間語録に加えるつもりだろう。
思いっきり間違っているので、後で訂正するよう伝えておいたほうがよいかもしれない。
いや、そんなことは今はどうでもいい。
それよりも、魔国の置かれている状況について詳しく知りたい。
ぼくは詳しい説明をルーカスに求めた。
彼はそれを受け、
「ではまず魔国の歴史から話そうか」
と、自称簡単に魔国の歴史を語り始めた。
大幅に省略すると次のようになる。
このクロ―シア大陸では、魔国の歴史は人間の国に比べると浅い。
人間の歴史については、文明の発祥までさかのぼると、それこそ万年単位で昔となる。
国らしきものを作る
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