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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第4話 事情
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ようになったのも、五千年くらいは前である。
一方、魔国の歴史はせいぜい二千年程度しかない。
魔族自体はもっと昔からいたかもしれないが、なぜか人間側にも文献が残っていないので、その起源などは明らかではない。
はっきりしていることは、二千年前に魔族の単一種族国家である魔国が建国され、永らく大陸の西側三分の一を支配下に置いていた、ということである。
そして、人間の国と魔国が戦争をするようになったのは、今から三十年前。
魔国は開戦以来十八連敗を喫しており、恐るべきスピードで領土が縮小。
現在は大陸南西の不毛な地を中心として、大陸全土の五分の一程度の版図となっている。
「どうだ? 理解できたか、マコト」
「うん。だいたいわかった」
「そうか、それはよかった」
「でもルーカスを見てると全然危機感がないように見えるけど」
「ふははは。危機感はあるぞ? ただ、現実は現実として、受け止めなければならないからな」
「ルーカス様はポジティブなのですよ」
あまり軍の参謀らしい感じがないが、まあネガティブよりはマシだろうと思うことにした。
「で、国の状況はわかったけど、それとぼくが開業することに、どんなつながりがあるの?」
「うむ。私は敗戦続きということ自体はそこまで気にしてはいないが――」
「いや気にしたほうがいいよね」
「ふふふ、まだまだ人間研究が甘いな、マコトよ。私が愛読している人間の書物によれば、外圧だけですぐに国が滅ぶということはありえないのだ」
「そうなの?」
ルーカスは「そうだ」と言って話を続ける。
「だが、落ち目になってくると、国全体の心が荒んでくる。そうなると内部でよからぬことが沢山発生してくることになるのだ。内輪もめがそのよい例だな」
「なるほど」
「書物には、心が荒んで発生する諸問題がきっかけとなって滅亡が加速するということは十分にありえる、と書かれている。そこで、お前に体と心を診てもらい、これ以上国が沈みこまないようにしたいというわけだ」
そういうことだったのか。
まず一人の人間として、ここまで評価されているのは嬉しいことではある。
そして、だ。
ルーカスは「体と心」という表現をしている。
これは、マッサージが体だけではなく、心のケアになるということも認めてくれていることになる。
マッサージは肉体面だけでなく、精神面にも効果があるとされている。
具体的には、脳内にセロトニンやドーパミン等の神経伝達物質が増加し、精神的な疲れが癒えたり、物事を前向きに考えたりすることができるようになると言われているのだ。
一回の施術でルーカスがそこまで感じ取ってくれたというのは、一施術者としてもこの上ない喜びである。
「うん
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