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【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第2話 まずはモミモミ
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た。
だが、世界が違えば存在する職業も違ってしかるべきだ。おかしくはないのかもしれない。
「ふむ。しかし、押したり叩いたりというのは攻撃だと思うのだが。攻撃して健康になるとは不自然な話だな」
「いや、なんでそうなるの」
「んん? よくわからんぞ?」
「ルーカス様、実際にやってもらってはいかがでしょうか? 前に『百聞は一見に如かず』とおっしゃっていたではありませんか」
「おお、さすがはシルビア。その通りだ。では実際にやってもらうとするか」
まさかの流れで実演することになった。
本心は、いきなりやることに抵抗はある。
人間ではない以上、体の仕組みも少し違う可能性があると思うから。
だが、今はできませんと言える立場ではない。
ルーカスの見かけは、目の色を除けばほぼ人間だ。
背は高いが百八十センチ程度だろう。今話しているときにも、首に胸鎖乳突筋――首の左右側面にある二本の筋――が見えていた。筋肉の付き方もさほど変わらない可能性が高いように思う。
人間とだいたい同じように施術できるかもしれない。
施術用のベッドはないと思われるので、床で施術することになる。
敷物や布など、施術に必要なモノを伝えると、メイド長とルーカスが持ってきてくれた。
テーブルや椅子を端に片付け、部屋の中央に敷物を敷く。
「ここに寝ればよいのか?」
「うん。けどその前に簡単な体の検査をするよ」
「どうすればいい?」
「まず薄着になって、真っ直ぐ立って」
メイド長が興味津々という感じで見ている中、検査を開始した。
まずは全体的な体のバランスを確認する。
やや反り腰がきついのは気になるが、きれいなシルエットだ。姿勢が良いので背の高さが際立つ。
そして、ぶっといわけではないが、筋肉の発達が凄い。参謀なのに。
「少し背中を触るね」
「わかった」
背骨を頸椎から腰椎まで触って確認する。
頸椎は七番まで、胸椎は十二番まで、腰椎は五番まで。
うん、人間と数は一緒だ。
背骨をなぞってみたが、側彎――左右の曲がり――もなく、きれいだった。
反り腰以外でそんなに気になるところはない。
筋肉も手のひらで触って確認してみる。
「お前の手は少し不思議な感じがするな」
「そう?」
「種族が違うから当たり前なのだろうか? 今まで人間に触られたことはないからな」
「そうかもね」
触った感じは、腰の筋肉の緊張が少し大きいようだ。
「じゃあ今度は椅子に座ってみて」
「こうか?」
「そうそう」
座っている姿勢も悪くない。
「座っていることが多いの?」
「参謀だから平均的な魔族よりは多いだろうな。もちろんトレーニングも人一倍やっているつもりだが」
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