暁 〜小説投稿サイト〜
【WEB版】マッサージ師、魔界へ - 滅びゆく魔族へほんわかモミモミ -
第一章 開業
第2話 まずはモミモミ
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。
 だが、世界が違えば存在する職業も違ってしかるべきだ。おかしくはないのかもしれない。

「ふむ。しかし、押したり叩いたりというのは攻撃だと思うのだが。攻撃して健康になるとは不自然な話だな」
「いや、なんでそうなるの」
「んん? よくわからんぞ?」

「ルーカス様、実際にやってもらってはいかがでしょうか? 前に『百聞は一見に如かず』とおっしゃっていたではありませんか」
「おお、さすがはシルビア。その通りだ。では実際にやってもらうとするか」

 まさかの流れで実演することになった。
 本心は、いきなりやることに抵抗はある。
 人間ではない以上、体の仕組みも少し違う可能性があると思うから。
 だが、今はできませんと言える立場ではない。

 ルーカスの見かけは、目の色を除けばほぼ人間だ。
 背は高いが百八十センチ程度だろう。今話しているときにも、首に胸鎖乳突筋――首の左右側面にある二本の筋――が見えていた。筋肉の付き方もさほど変わらない可能性が高いように思う。
 人間とだいたい同じように施術できるかもしれない。

 施術用のベッドはないと思われるので、床で施術することになる。
 敷物や布など、施術に必要なモノを伝えると、メイド長とルーカスが持ってきてくれた。
 テーブルや椅子を端に片付け、部屋の中央に敷物を敷く。

「ここに寝ればよいのか?」
「うん。けどその前に簡単な体の検査をするよ」
「どうすればいい?」
「まず薄着になって、真っ直ぐ立って」

 メイド長が興味津々という感じで見ている中、検査を開始した。
 まずは全体的な体のバランスを確認する。
 やや反り腰がきついのは気になるが、きれいなシルエットだ。姿勢が良いので背の高さが際立つ。
 そして、ぶっといわけではないが、筋肉の発達が凄い。参謀なのに。

「少し背中を触るね」
「わかった」

 背骨を頸椎から腰椎まで触って確認する。
 頸椎は七番まで、胸椎は十二番まで、腰椎は五番まで。
 うん、人間と数は一緒だ。

 背骨をなぞってみたが、側彎――左右の曲がり――もなく、きれいだった。
 反り腰以外でそんなに気になるところはない。

 筋肉も手のひらで触って確認してみる。

「お前の手は少し不思議な感じがするな」
「そう?」
「種族が違うから当たり前なのだろうか? 今まで人間に触られたことはないからな」
「そうかもね」

 触った感じは、腰の筋肉の緊張が少し大きいようだ。

「じゃあ今度は椅子に座ってみて」
「こうか?」
「そうそう」

 座っている姿勢も悪くない。

「座っていることが多いの?」
「参謀だから平均的な魔族よりは多いだろうな。もちろんトレーニングも人一倍やっているつもりだが」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ