144部分:第十八話 炎の剣その一
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第十八話 炎の剣その一
炎の剣
バドはその右手に持つ剣でシュラを指し示す。そのうえでさらに言ってきた。
「では。覚悟はいいな」
「闘うということだな」
「如何にも。既にわかっている筈だ」
少なくとも彼はそのつもりだった。激しい小宇宙はまさに殺気そのものであった。
「私のこの剣で貴様を倒す」
「そのハルパスの剣でか」
「言っておくがこの剣はただの剣ではない」
その言葉がさらに鋭いものになる。まるで剣そのもののように。
「このハルパスは炎の魔神」
「むっ!?そういえば」
オズが今のバドの言葉からあることを思い出したのだった。それはすぐに顔に出た。そうしてシュラに対して言うのであった。
「シュラ様、ハルパスといえば」
「わかっている」
そしてシュラもそれはわかっているというのだった。
「炎の魔神だったな」
「そうです。その手に持っている剣から炎を起こし」
「考えてみれば奇妙なものだ」
シュラはそのハルパスという魔神について述べるのだった。
「ハルパスの姿は鳩」
「はい」
その姿をした魔神なのである。
「それは本来平和の象徴なのだがな」
「それが黒くなると共に破壊の化身となる」
オズはシュラに応えて述べる。
「考えてみれば妙な話です」
「その通りだ。黒き邪悪な鳩か」
「我等が邪悪だというのか」
だが当のバドは彼等の言葉に対して心外といった顔を見せるのだった。
「この我等が」
「違うというのか?」
「我等がどうして邪悪なのだ?」
さらに問うてきたのだった。やはりその顔は心外といったものであった。
「我等狂闘士が。そして我等がお仕えするアーレス様もまた邪悪だとでもいうのか?」
「ふん、戯言を」
「邪悪でなくて何だというのだ」
彼の言葉をサミュエルとライマンが即座に否定した。
「貴様等は闘いにおける鮮血を愛する筈だ」
「その赤い戦衣が何よりの証拠」
そのうえで今バドが身に着けている赤いハルパスの戦衣を指し示すのだった。
「違うか?その戦衣は闘いに酔う貴様等の象徴だ」
「嘘とは言わせんぞ」
「それが悪だというのか」
バドはなおも聖闘士達に問い返す。
「闘いのその中で酔うことが」
「ふん、まだわからんと見えるな」
今度はザンドルフの言葉だった。
「どうやら貴様等狂闘士にはそれが普通のようだからな」
「普通なのは確かだ」
それは彼もまた認める。
「しかしだ」
「しかし?」
「アーレス様は戦いの神」
「それはもう知っているが?」
「貴様等の主であるアテナと同じものを司っている」
これもまた言うまでもないことであった。アーレスといえば戦いと司る神だ。しかしアテナがそれは護りの為の戦いでありそこ
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