十八話:河川敷の決闘
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声を上げる間もなく大の字になって倒れ伏す。
そんな彼の下にジャンヌは一目散に駆け寄っていく。
「ぐだ男君……よく頑張りましたね」
『は…はは……ジャンヌ…俺……勝ったよ』
「はい…はい…ッ。ぐだ男君の勝ちです…!」
ボロボロのまま力なく笑うぐだ男を彼女は眼に涙を溜めながら見つめる。
彼が一体何度挑んだのか、打ち倒されたのか、それは彼女にも彼にも分からない。
100を超えていたかもしれないし、それ以上かもしれない。
ただ一つ分かることは―――彼の想いが本物だったということだ。
『ああ……良かった』
最後に安堵の言葉を小さく呟いて彼は瞳を閉じる。
大好きな少女の温もりを肌で感じながら。
次にぐだ男が目を開くと自室の天井が瞳に映った。
そして、穏やかな表情で自分の頭を撫でるジャンヌの顔が次に映る。
「あ、目が覚めましたか。どこか痛いところはありませんか?」
『ジャンヌ…? どうして俺は自分の部屋に?』
「あの後、ぐだ男君が気絶したので運ばせてきてもらいました」
ぐだ男が気絶した後は彼の家に謝罪を兼ねてジルとジャンヌが運んできておいたのだ。
因みに移動中にジルはジャンヌにしこたま叱られたらしい。
『エミヤは何も言わなかったの?』
「はい。ただ、そうか、と短く頷いただけでした。それと伝言ですがしばらく妹達の晴れ舞台があるのでこっちには来られないと言っていました」
『……親子総出で写真でも撮りに行ってそう』
娘のイリヤとクロエを溺愛するエミヤ家の一同を思い浮かべて苦笑いを浮かべる。
あの家族は複雑な構成だが皆良い人でいつもお世話になっているのだ。
『あと、それと』
「はい、なんでしょうか?」
『……これって膝枕?』
「そ、そうですけど……あの、寝心地が悪かったりはしないですか」
顔を赤らめながら肯定する彼女の胸部が目の前に近づいて焦るぐだ男。
しかし、何とか体裁を取り繕い返事をする。
『いや、柔らかくて最高だよ』
「そう言われると、ちょっと恥ずかしいですが。それなら良かったです」
微笑むジャンヌの姿を見て胸が高鳴る。
やはり、自分は彼女のことが好きなのだと再認識して自然と言葉が零れる。
『好きだよ、ジャンヌ』
「…! もう……不意打ちは卑怯ですよ」
彼の言葉にジャンヌはむくれた様な嬉しい様な表情をみせる。
そんな姿にやっぱり可愛い人だと内心で呟きながらぐだ男は笑いかける。
ジャンヌは彼の笑みにドキリとしたように目を逸らしポツリと声をこぼす。
「その……カッコよかったですよ、あの時のぐだ男君は」
『あの時? じゃあ、今は?』
「今は……ふふ、可愛いですよ」
拗ねた様
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