第二十三話 完全にその十五
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「第一はね」
「そうなりますよね」
「顔がよくても性格が悪いと」
「それだけで駄目ですね」
「自然と人相も悪くなるよ」
そうなるというのだ。
「それでね」
「生き方ですか」
「そう、生き方だよ」
まさにそれだというのだ。
「人は元々の顔立ちよりもね」
「生き方で顔が決まりますか」
「そうだよ、だから顔よりもね」
「その人の心ですね」
「それが顔にも出るから」
「まずは心ですね」
「そうだよ、君も美人になりたいのなら」
そう思うならというのだ、女の子となった優花が。
「いいね」
「はい、心をですね」
「いつも奇麗にしておくんだよ」
「そうします」
「この長崎や蝶々さんみたいな」
店の窓の外、その長崎の街を見ての言葉だ。
「そうした奇麗な心になるんだよ」
「長崎、蝶々さんみたいな」
「どれも奇麗だね」
「はい、とても」
「だからね」
「長崎の街や蝶々さんみたいな」
「奇麗な心になって欲しいんだ、僕は」
これが岡島の今の願いだった。
「是非ね」
「それでは」
「そういうことでね、じゃあ今日は」
「今日は?」
「駅の方に行こうか」
長崎駅のというのだ。
「そうしようか」
「駅ですか」
「そう、今は長崎の外には出られないけれど」
療養所の規則でそうなっているのだ、外出も職員付き添いのうえで許可制でありしかも長崎市からは出られないのだ。
「退所したら出られるからね」
「その時に備えてですか」
「観に行こうか」
「はい、じゃあ駅まで」
「行こうね」
今も笑顔で言う岡島だった、そして優花を長崎駅の方まで連れて行った。長崎と他の場所をつなぐその場所に。
第二十三話 完
2016・5・30
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