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真田十勇士
巻ノ五十七 前田利家その一
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                 巻ノ五十七  前田利家
 信之と幸村の軍勢は上杉家、前田家の軍勢から成る北陸勢と合流した。するとすぐにだった。 
 兼続が幸村のところに来てだ、微笑んで声をかけてきた。
「お元気そうで何よりで」
「それがしに会いに来られたのですか」
「はい」
 その通りだとだ、兼続は上杉家の黒の具足に陣羽織、愛の文字が入っている兜といった格好で幸村の前に馬に乗って出て答えた。無論幸村も彼と共にいる信之も馬に乗っている。
「お元気かと思い」
「有り難きお心遣い」
「いえいえ、それなのですが」
「はい、これよりですな」
「合流しましょうぞ」
 まさにというのだ。
「そしてです」
「進軍ですな」
「関東に向けて」
 即ち北条家の領地にというのだ。
「行きましょうぞ」
「そしてその前にです」
 まさにというのだ、そしてだった。
 幸村は信之、十勇士達と共に兼続に上杉家の陣に入った、その中で。
 兼続は信之と幸村にだ、こうも言った。
「殿もおられますが」
「前田殿もですか」
「はい」
 その通りとだ、兼続は信之に答えた。
「そうです」
「そうなのですか」
「前田殿と共に軍議を進めています」
 まさにというのだ。
「そしてその中にです」
「我等もですか」
「どうぞ」
 こう言うのだった。
「宜しくお願いします、そしてその場でです」
「前田殿ともですか」
「お話をして下さい」
「それでは」 
 こうした話をしてだった、そのうえで。
 信之は本陣に入った、そして本陣の奥でだった。
 幸村は十勇士達にだ、こう言った。
「悪いがな」
「はい、ここでですな」
「我等はですな」
「ここに留まりですな」
「待つのですな」
「そうじゃ、そうしてくれるか」
 こう言うのだった。
「ここはな」
「はい、わかりました」
「それならです」
「我等はです」
「ここで待ちます」
「そうしておきます」
「ではな、暫し待っていてもらう」
 こう十勇士達に告げてだ、彼等を待たせてだった。
 信之にだ、幸村はあらためて言った。
「ではこれより」
「うむ、これよりだな」
「行きましょうぞ」
「こちらです」
 兼続も二人を案内する、そしてだった。
 その本陣の奥の中に入った、そこは。
 その本陣の中にだ、兼続がいてだった。
 大柄で細長い顔をした青い具足と陣羽織の者が彼と同じ年代のやや小柄な者
を連れていた、その者を見てだった。
 信之と幸村は二人に対して一礼した。
「真田源三郎信之です」
「真田源二郎幸村です」
「ほう、御主達がか」 
 その大柄な男が笑って二人に応えた。
「真田家の二人か」
「はい、そうです」
「我等がです」
「真田家の者です
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