―決戦前夜―
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「だから私としては、ダークネスとの戦いは兄さんにやったことへの意趣返し、っていうのもあるのかもね。……もちろん、夢のためでもあるけど」
明日香はそう言って、少々冗談めかして笑う。思い出が詰まった地に、願掛けをしに来たのだろう。ダークネスなんて得体の知れない連中に、自らの夢を邪魔されないように、と。
「夢と言えば……遊矢は決まったの? 将来の、こと」
「俺は……」
ダークネスとの戦いがどのようになろうと、俺たちはもうしばらくして、アカデミアを旅立つことになる。明日香は先生に、万丈目はプロに、翔はプロリーグの経営に――みんな、様々な夢を持ってこの戦いに臨んでいる。
「……決まったよ」
――もちろん、それは俺も例外ではない。一足先に夢を叶えた三沢を見て、ずっと考えていたことだった。最初は三沢への競争心だったかもしれないが、今は確固とした気持ちとしてそこにある。
「何か教えてもらってもいい?」
「それは………………秘密だ」
「……私は教えてるのに、それは不公平じゃない?」
とはいえ、わざわざ自身の夢を宣言するほど気恥ずかしいものはなく、つい誤魔化してしまう。明日香は最もな理由でもって不満げな表情を見せるが、すぐにその腕に装備したデュエルディスクを見せびらかした。
「意見が割れたらデュエル、よね?」
「相変わらずデュエル馬鹿だな」
「あら。自己紹介かしら?」
反射的に放った一言も、笑顔で皮肉を返されて臨戦態勢に入る――ただ話をしているより、こうしてデュエルしていた方が自分たちらしい。
「前のデュエルは引き分けだったものね、決着をつけましょう。それに……入ってるんでしょ? ペンデュラム」
「……ああ」
こちらの世界では普及していないということもあって、ペンデュラムモンスターたちは今まで使用を自粛していた。だがダークネス相手にその必要もなく、剣山を始めとしたアカデミアの生徒たちも、チラホラと使用者が現れていた。
ペンデュラムモンスターたちの改めての実戦投入に、先日のデュエルの決着。それらを含めて、俺たちはデュエルをするのに適した距離を取り、お互いにデュエルディスクを構えた。
決戦前夜だろうと――俺たちのやることは変わらない。
『デュエル!』
遊矢LP4000
明日香LP4000
「俺の先攻」
デュエルディスクはこちらに先攻を指し示し、俺は五枚のカードをデッキから手札とする。
「モンスターとカードを一枚ずつセット。ターンを終了!」
「私のターン、ドロー!」
セットモンスターとリバースカードを一枚ずつ伏せ、とりあえずは様子見の防御の布陣。そして明日香のターンに移り、早速一枚のカードがお目見えす
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