第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#22
DARK BLUE MOONXIV〜Braze Blood〜
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最後の、涙。
同じ処 には往けないけれど、もう二度と逢えないけれど。
それでも自分は、遙かなる彼方に飛び立った彼女の永遠の安息を、心から祈った。
【2】
「!!」
「!?」
異変に承太郎とシャナが気づいたのはほぼ同時だった。
存在の力を感じるも何もない。
眼下で緩やかに陥落していたマージョリーの躰の裡から、
突如夥しい数の紋章と紋字が狂暴な煌めきと共に湧き出した。
ソレに伴い莫大な量の群青の炎が彼女を取り巻き一瞬で衣服を焼き尽くし、
一糸纏わぬ姿になったマージョリーを神器ごと透明な真球が覆い込む。
その真球へ更に群青の炎が覆い被さり表面が脈動を始めた刹那。
脳裡に走った直感と肌にザワめいた怖気に、
承太郎とシャナはラミーを連れ螺旋階段から外部へと飛び去った。
理由は解らない、だが背骨に濡れた氷柱でも突き込まれたように
二人の全細胞がその場に留まるコトを全力で拒否していた。
眼下に存在するモノを遮二無二足場にして空を駆け、
数百メートル離れたビルの屋上に青年と少女が着地した刹那。
件の場所の最上部から、想像を絶するモノが大気の唸りと共にその貌を覗かせた。
ソレは、余りにも巨大過ぎる獣の頭部。
残った表層を被膜のように突き破り、
中間フロアから蒼い手足が瓦礫の崩落と共に這い擦り出し、
美術館全域を覆い尽くすほどの巨躯が己の屹立を妨げるモノを
粉々に破壊しながら迫り上がる。
俄 には信じがたい光景に唖然となりながら、青年と少女は同時に口を開いた。
「顕……現……ッ!」
「狼……か……?」
そう、二人の漏らした言葉通り、狂猛なる紅世の王 “蹂躙の爪牙” マルコシアス、
ソノ真の姿の 『顕現』
全身を群青の炎で形成された神 虐の 【悪魔狼】
やがて、己を阻む全ての存在を跡形もなく砕き尽くした蒼い獣が、
巨大な顎を天空へと開き破滅の産声を上げる。
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
OOO――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
その咆吼、正にこの世の終焉を告げる、神々の黄昏が如く。
周囲を取り巻くビル群の全階層に亀裂が走り、
強化ガラスが軒並み弾け飛び、
止まった波間までもが大きくさざめく。
青々しく枝を張る街路樹が圧し折れ、犇めく車が横倒しとなり、
雑踏を歩く人々が砂塵のように吹き飛ばされた。
射程安全圏内に避難していた承太郎とシャナも、
空間を伝わってくるその大気の激浪の
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