第20話 オハラからの脱出
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れば、ここにいる学者たち全員を乗せて島から逃げ出すことが出来ます」
皆を助けるつもりで居ること、そして以前に説明した艦娘についてを思い出してもらうために言う。俺の言葉を聞いて、クローバー博士の諦めを感じさせる瞳に光が戻った。
「ありがとう、提督殿……。皆、作業は終わり、島から脱出するぞッ! 提督殿の後に付いて来てくれ!」
感極まった様子のクローバー博士。だが、次の瞬間には気持ちを切り替えて研究者たちに声を上げて命令を下した。
「皆、この島から逃げるぞ! 提督と艦娘達に付いて行こう!」
「オウ!」「助かったッ!」「ありがとう!」
学者たちの皆も、直前までは脱出する船が無くて覚悟していたみたいだけれど、助かるかもしれないという道を俺が示したことで、全員の表情に明るさが戻っていた。
俺達が先ほど海軍の目を潜って上陸した地点へ、全員を引き連れて向かうことになった。
***
「ありゃりゃ、団体さんと遭遇してしまったなぁ」
逃げている途中の道で遭遇した、丸メガネを掛けたモジャモジャ頭の男。彼は、出会うなり面倒くさそうな口調でそう呟いた。
彼の頭に巻かれているバンダナに、海軍を示すカモメマークが見えてしまった。どうやら彼の身に付けているバンダナと先ほどの呟かれた言葉から、海軍関係者だという事を否応に理解させられた。
彼は一人で道の真中で立っていて、こちらには学者だが百以上の人間が居る。人数だけで言えば圧倒的に不利であるだろうに、逃げる様子はない。
「できれば、黙って通して頂きたいんだが」
皆の先頭を進んでいた俺は、戦闘が起きないようにと彼に説得を試みた。だが彼は、俺の言葉には特に反応せず、俺の後ろにいる艦娘達を眺めて溜息をついた。
「また女の子、か……。面倒事ばかりで本当に嫌になる。だが、一応は海軍から給料を貰っている身なんでな。貴様らを見逃す訳にはいかない。抵抗するなら、全員ココで凍ってもらう」
オハラからは、もうしばらく脱出はできないようだった。
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