第十三話 旅立ちその十三
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「この国の王になる、ロートリンゲン家の血を引くな」
「この国自体がロートリンゲン家のものになる」
「そうなっていきますね」
「だからこそですね」
「これからも動き」
「そしてロートリンゲン家のお子をもうける」
「そこまでされますね」
「その通りだ、我々がこの国に来た理由はだ」
ロートリンゲン家の者としての言葉である。
「この国をロートリンゲン家の者達がすることだ」
「だからこそ」
「それ故にですね」
「この国に来た」
「その究極の狙いの為にだ」
まさにというのだ。
「妃との間に子をもうけねばな」
「味方を増やすと共に」
「お子も必要ですね」
「では今宵も」
「勤めを果たされますか」
「そうする、だが妃は夜についてはどうもな」
マイラのその一面についてもだ、太子は話した。
「弱い、信仰の深さ故にか」
「旧教も禁欲的ですし」
「姦淫は戒めています」
「その姦淫になるからですね」
「それで、ですね」
「お妃様はそうしたことに抵抗があるのですね」
「しかも身体もだ」
マイラのそれはというと。
「今一つ強くないな」
「そういえば度々風邪をひかれていますね」
「少し身体が弱いですね」
「だからそのこともあって」
「夜は、ですか」
「勤めに消極的だ」
王家の者達が果たすできそれにというのだ。
「残念なことにな」
「ではお子は、ですか」
「難しいですか」
「どうにも」
「そうかもな、だがだ」
太子は生真面目な顔で述べた。
「私は必ずだ」
「お子をもうけられますね」
「お妃様に」
「そうされますね」
「その為に来たのだからな」
だからこそというのだ。
「そうする、ではな」
「はい、それでは」
「お励み下さい」
「是非共」
「そうしよう」
太子はマイラの為に働いていた、だがそれは駒自分も含めて帝国のそれとして見てのことだった。そのうえで粛々と動いていた。
マイラもその太子の動きをわかっていた、そのうえで言うのだった。
「あの人も」
自分を、と言うのだった。そのうえでまた孤独を感じるのだった。それも深く。
第十三話 完
2016・6・13
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