第十三話 旅立ちその十
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「マイラ王女は」
「素直に申し上げてくれと言われました」
一礼してからだ、太子は王に答えた。
「自分はこの場にいる資格がないと」
「そう言ってなのか」
「はい」
まさにというのだ。
「そう言ってです」
「来ないというのか」
「そうです」
こう王に話した。
「ですから」
「そうか」
「それで私が代理としてです」
それでというのだ。
「参上したのですか」
「わかった」
一同は今は城の外にいる、それも宮城ではなくその外にある街を囲んでいる城壁を囲んでいる正門のだ。
そこにいてだ、二人を迎えているが。
王はその話を聞いて難しい顔になった、だが。
心の中で嘆息しつつもだ、こう言ったのだった。
「わかった」
「では」
「それでいい」
こう太子に言うのだった。
「それではな」
「はい、では」
「二人を見送るとしよう」
あらためて言った、この言葉を。
「そうしよう」
「さすれば」
「ここにいる者達でな」
「王よ」
司教も太子の傍にいる、そのうえで王に言うのだった。
「願わくば」
「マイラのことはだな」
「はい、くれぐれもです」
「わかっている」
表情をあえて消してだ、王は司教に答えた。
「不問とする」
「有り難き幸せ」
「マイラにはマイラの考えがある」
彼女に理解を示したがこの辺りは政治的な配慮があった。王家の者をこうした理由で処罰出来ないものだからだ。些細とされる理由で。
「ならばな」
「その様に」
「ではだ」
王はあらためて言った。
「二人を見送ろう」
「二人共元気で」
マリーは二人に心から言った。
「そしてあちらでもです」
「幸せにと」
「そう言われますか」
「はい」
涙を堪えてだ、マリーは二人に答えた。
「さようなら、けれど」
「ええ、それでもね」
「私達は一緒です」
「三色の薔薇がある限り」
「何があろうともです」
「そうです、ですから」
別れの言葉は言った、だがそれでもとだ。
マリーはここでも心からだ、二人に言ったのだった。
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