第八十四話 西瓜割りその七
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「それは」
「そうですわね」
「日本の砂浜だからかな」
「日本の方が他国でされるかも知れませんが」
「少なくともフェシングはないね」
「そうですわね」
「ううん、確かに西瓜割りは場所を選ぶね」
そして棒でなければならない、やっぱり日本独自の遊びだ。
「全く以てね」
「そのこともわかりましたわ」
「さて、誰か割れるかな」
その日本独自の遊びをだ。
「どうなるかな」
「まあ割れなくてもね」
また日菜子さんが言って来た、それも笑顔で。
「明るくね」
「はい、雰囲気をですね」
「楽しみましょう」
「そうですね、割っても割らなくても」
「西瓜は食べられるわ」
僕に笑顔で話してくれた。
「どちらにしてもね」
「だからいいですね」
「それじゃあね」
「クリーム西瓜楽しみにしますか」
「そうしましょう、あの西瓜はね」
クリーム西瓜、その黄色い西瓜はというと。
「普通の西瓜とはまた味が違うのよね」
「そう、すっきりした感じがしますよね」
「赤い西瓜と違ってね」
「あっさりというか」
「その味がまたいいのよ」
「何処かハイカラな感じもして」
「そこがいいのよね」
日菜子さんは僕に実に楽しそうにだ、クリーム西瓜の素晴らしさを話してくれた。どうも日菜子さんはこの西瓜が好きだと思った。
「暑いと特にね」
「クリーム西瓜は」
「そう、だからね」
「楽しみなんですね」
「そうよ、じゃあね」
それではと言ってだ、日菜子さんは実際にだった。
にこにことして待っていた、そのうえで。
日菜子さんの番が来てだ、それをすると。
西瓜とは三メートルは左に棒を振り下ろした、そして手拭いを取って自分が外したのを確認して笑って言った。
「やっぱりね」
「外してもですね」
「こんなものよ」
笑って言うだけだった。
「いや、楽しかったわ」
「やっぱり西瓜割りは」
「そう、おいそれとはね」
「割れるものじゃないですね」
「割れたらいいけれど」
「割ることを楽しむんじゃなくて」
「その雰囲気をね」
西瓜割りのそれ自体をというのだ。
「楽しむものだから」
「いいんですね」
「そう、じゃあね」
「食べる時は」
「皆で仲良く食べましょう」
そのクリーム西瓜をというのだ。
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