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長男の役割
過ち2
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やべぇ…。
掌の痛みに耐え、掃除機を持ってくる。きっと後でチョロ松に怒鳴られるんだろうなぁ…めんどくせぇ…。

お「はぁー…、こんぐらいかな…」

とりあえず破片が飛び散っていたら危ないので廊下全体に掃除機をかけた。端に除けておいた大きな破片を持ち、台所へと戻ることにした。

チ「おそ松兄さん遅くない?」

お「あーごめん…。こけて茶碗割っちまって…」

言い訳をするとあとあと面倒くさいのでしっかりと謝ることにした。これできっとチョロ松も許してくれるだろう。でも、そう思ったのは一瞬だけだった。

チ「はぁ!?なんでこけてんの!?茶碗割ったって、この家それぞれ一個だけしかないんだよ!?」

嘘だろ…?

チ「てか、だいたいなんにもないところでこけるの!?」

なんでさ…

カ「おい、チョロ松…それはいいすぎじゃ…」

チ「カラ松兄さんは黙ってて!!」

あ、だめだ…

チ「なに?ニートの動力ってこんなにも鈍いの?」

やめろ…。それ以上は…!!

チ「長男なんだからそのくらいできるだろう…!?」

………。世界が止まったような気がした。きっと時間は普通に流れているんだろうな。え?なんでそう思うかって…?

『俺がチョロ松を殴ったからだよ』

チ「…は…!?」

お「このやろう…!!」

カ「おい!おそ松やめろ!!!」

カラ松に腕を抑えられる。まだこの二人は俺の右手には気づいていないようだ。抑えられた瞬間に激痛が走る。右手を庇いたいが肩から抑えられ、身動きが取れなかった。

チ「なに?逆切れ…?」

お「っ…!てめぇ!!」

カ「おそ松!!」

騒ぎに気付いた弟たちが台所へと入ってくる。三人とも唖然としている様子で、十四松に至っては口を閉じてしまっている。じたばたと暴れる俺の手からは再度あふれだした血が一松の頬につく。生暖かい水と鼻に来る匂いに気付いたのかトド松が十四松の陰に隠れた。

チ「おそ松兄さん…??」

だめだ…、言いたくない…、けど、口が勝手に動いてしまう。謝りたい。けど、今、俺が心の中で一番、思っていることを、口走ってしまった。

お「長男長男ってさぁ…、いったいなんなの…?みんな同い年だろ!?なのにいつもいつも俺ばっかり文句言われてさぁ…!!わかる!?どれだけつらいか!確かに同い年だけど、長男なんだよ!わかってるんだよ!けど…、俺は頑張ってる…でも…。」

皆が俺をみる。カラ松の手がするりと俺の肩からなくなったのを確認すると、右手をかばい、みんなから後ずさる。これに気付いたカラ松とチョロ松の顔がみるみる青ざめていくのがわかった。

お「家族でさぁー、一番偉いのは父さんだろ?次は母さんだろ…?次は誰だと思う?十四松」


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