第6章 流されて異界
第150話 その火を……飛び越えるのか?
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存在していないのは認める」
でも、その他の女性としての機能は先ほども告げたように、この世界に呼び出された瞬間から存在しているので、あなたを受け入れるのに問題はない。
しかし、直ぐに、俺に言葉が上手く伝わらなかったのかと考えたのか、妙に生々しい内容の言葉を告げて来る。
誰も居ない二人だけの世界。術の作用により外から見られる事もなく、互いに身に纏う物は何もなし。首に回された彼女の腕は、それまでと比べると少し力が籠められ、高校生としてはかなり小振りながらも、確かに女性であると主張している胸を強く押し付ける結果となっていた。
但し、彼女が言うように、現在の彼女の身長は、平均的な中学一年生女子の身長と同じ程度だと思われるので……。
おそらく、胸のサイズに関しても中学一年生と考えるのなら、妥当な数字を叩き出しているとは思うのだが。
もっとも、その姿形のまま成長する機能を有していないと考えると、思念体の本当の目的が更に謎に成るとも思うのだが。
「……すまない、少し茶化し過ぎたみたいやな」
まぁ、自称進化の極みに達した情報生命体の事はもう忘れよう。確かに有希が産み出された当初は今の姿形でも良いとは思うが、それから三年後にハルヒと接触してから後の事を一切、考えていないように見えたとしても、其処に某かの意味はあったのでしょう。最低でも高一から高三までの間は長門有希が中心となって観察を行う予定だったはずなので。
おそらく、彼女の情報が更新される度に、思念体の方で身体的情報の書き換えも行い、人間として周囲に違和感を覚えさせない程度には成長し続けているように見せかけていた……とは思うのですが。
ただ、それならば。其処まで細かなサポートを行って居たのなら、彼女が思念体に対する反逆にも等しい事件を起こすようなバグを放置し続けて居た明確な理由が分からなくのるのも事実なので……。
もしかすると、人間とは成長する生命体である、と言う事すら知らなかった可能性も否定出来ないのが怖いトコロなのですが……。
「有希の見た目が幼い事に不安を抱いた訳でもなければ、好みの女性でなかったからはぐらかした訳でもない」
せやから、術で見た目を変える必要もないで。
人生経験の差……いや、そんなはずもないか。確かに、俺自身が蘇えらされた記憶は複数の人生に及ぶ。しかし、それは有希の方にも大きな違いはない。報告書に記されていた、彼女が生きて来た時間は軽く数百年分の時間に相当するらしい。
彼女の場合、ループする時間の中を延々と旅し続けて来た、と言う、もしかすると俺よりも苛酷な人生を送って来たかも知れない魂。おそらく、その所為で本来は心のない人形に魂が定着したのでしょうが、その事を素直に良かったと言ってやる事は出来ない……と思う。
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