第6章 流されて異界
第150話 その火を……飛び越えるのか?
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歩を踏み込む彼女。普段通りに。しかし、普段は常に某かの服を着た上で触れていた物が、今はすべて素のままの状態で触れて居る事が分かる。
そう、早春の蕾にも似た、未だ完全に花開く前の其処が触れる感触。予想よりも少し硬く、そして冷たい感触に……。
イヤイヤイヤイヤ!
かつて俺であった存在たちの記憶を糧に、更に長門有希と言う存在が現在まで歩んで来た道のりから推測出来る、彼女の状態を一瞬考え掛けた俺。しかし、その不埒な想像を一瞬で吹っ飛ばす。
そもそも、彼女は俺の心音を聞く事により、自らを落ち着かせる術を学んでいる。これは術を行使する際の条件付けにも近い物があるのだが、残念ながら俺にはそんな精神を一気に落ち着かせるような条件付けを行った物はない。
いや、ない事もないのだが、その俺の精神を落ち着かせるべき存在が、今、俺の胸に自らの身体を預けているのだから――
「意味もなく付けられた機能でも、その事に対して、今のわたしは感謝をして――」
初めからこの流れに持ち込む為の展開だったのか。確かにそれならば、ここに彼女が現われてからの、彼女から発せられる躊躇いと決意の間で揺れ動く感情の意味も理解出来た。
それに、少なくとも俺の答えが、彼女の想定していた答えとの間に大きな開きがなかった事についても。
――ただ、何にしても!
何か言い掛けていた、目の前に居る少女を抱き上げる俺。少女はその突然の行為に対しても嫌がる様子もなく、ただ柔らかく受け止めるのみ。
普段以上に軽く感じる彼女。三年前から一切、成長していないと言う事なら、中学一年生としてなら、それほど小柄と言う訳でもなければ、痩せていると言う訳でもない。
そして、そのまま、彼女がある種の決意を持って進んで来た道を逆に辿り――
白い湯気を発生させ続けている場所へと、ゆっくりと身体を沈めて行った。
当然、彼女を胸に抱いたままで。
深い霧に等しい湯気を浅く吸い込み、少し熱すぎる感はある物の、身を包む湯は柔らかく肌に触れる。まるで生来の重力を操る能力を行使しているかのような浮遊感も悪い物ではない。
「それで、抱き上げたけど……これで良かったのか?」
何にしても、何時までも彼女に主導権を握られたままでは問題がある。確かに、有希は皆まで願いを口にした訳ではない。……が、しかし、あそこまで言われて、先を予測できないほどマヌケではない。
但し、それと、彼女の願いを受け入れるのとでは天と地ほどの差が存在する。
俺の問い掛けに、一瞬、むっとしたかのような感情を発生させる有希。……これは、もしかすると、コチラの世界にやって来てから初めての事かも知れない。
しかし、直ぐに、
「確かに、わたしの見た目は日本人の平均的中学一年生程度の身長しか
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