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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第150話 その火を……飛び越えるのか?
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して何処まで信用に足るのかと言われると……。
 因みに羌氏(きょうし)と言うのは炎帝神農に繋がる家系。俺たちのサイドから見ると、仙族内に取り込まれた牛種の親分の一族と言う奴の事。
 牛種と俺たちが基本的に相容れない理由は、俺たちは流れのままに。人間界に過度に干渉する事なく、自然の流れのまま人間の手に委ねる。そう言う方針である事。そして、牛種の方は、基本的に自らの管理、統制の元で人間界を運営する事。まぁ、ぶっちゃけ、支配すると言った方が良いか。

 そう言う点から言うと、この殷周革命と言うのは、非常に牛種らしい経緯で始まり、そして、終わった歴史的な出来事と言う事になる。

 大陸の歴史が何故、王朝の勃興と滅亡を繰り返したのか。血で血を洗う騒乱が続いたのか。日本の皇室が万世一系と称しているのに比べると、どちらの方がより優れているのか分からないが、それでも日本人と言う存在を形成するには重要なファクターと成っている根っ子の部分に思いを馳せかけた俺。その俺をじっと見つめる有希。
 そして、小さく首肯く。

 それまで彼女としては珍しく、躊躇いと決意の間を揺らめいていた気配がその時、決意の方向へと大きく傾いた事を感じる。
 そうして――

 ある種の期待に似た気配を放ちながら一歩、二歩と近付く有希。
 僅か三歩。その僅かな時間の間に二人の距離はゼロへと縮まり――

 硫黄の臭いの中に強く感じる彼女の香。但し、何時もは精神を落ち着かせる香、彼女の声、それに気配も、今はまったく逆の効果をもたらせる役にしか立っていない。

 俺の身体に、未だ花開く前――蕾の段階の彼女の身体が触れる。乏しい……とは言わない。勝手にインストールされた記憶の中には、俺自身が今とは違う性別で暮らしていた時代も確かにあった。あれが俺の妄想から産み出された物でないのなら、彼女の身体は多分……。
 その乏しくはない、しかし、現在の俺以外の知識から言わせて貰うのなら、これ以上、彼女が歳を重ねる事がない事が酷く残念だ、と言うしかない双丘。繊細さと、そして滑らかさを持つ肌は弾力に富み、形の良い双丘を僅かに持ち上げている。その頂点……。未だ誰も知らないであろうと言う其処には、薄い桜色の蕾が小さく自己を主張していた。

 直接触れてみる事で改めて分かる彼女の肌の冷たさ。これは、彼女自身の不安による物なのだろうか。
 いや、俺自身も経験の少なさから多少なりともテンパっているのは理解している。
 そう、普段と同じように俺の左胸に彼女の手が触れた瞬間、一気に跳ね上がる心臓。そして、意味もなく……まるで、周囲の空気自体が薄くなったかのように感じ、浅い呼吸を繰り返す。

「帰る前に一度。一度で良いからわたしを――」

 上目使いに俺の瞳を覗き込んだ後、躊躇いがちに最後の半
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