第6章 流されて異界
第150話 その火を……飛び越えるのか?
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
ひとつの世界に同じ魂が同時に存在出来ない……の法を明らかに破って、同時に複数人が存在していた自称未来人の朝比奈みくる。
宇宙誕生と同時に発生。以後、情報を収集する事によって進化の極みに到達したと自称していたにしてはやる事の程度が低く、情報収集能力がかなり低いと言わざるを得ない情報統合思念体に作成された人型端末の少女たち――」
上空に対して遮る物のない、露天風呂と言う開け放たれた空間内で、何故だか微妙な余韻を伴いながら、僅かに遅れて耳に届く自らの声。
まるで何か。見えない屋根の如き物に反射されているかのように……。
そのような、ふたりだけしか居ない閉じられた世界に、俺の声だけが響き続ける。
そして――
そして、何時もと同じ透明な表情に、何時もとは明らかに違う何か熱い物を籠めた瞳で俺を見つめ続ける彼女。
それは……おそらく、十二月二十四日と言う日付がもたらせる魔法。
「そのままでは、この世界に対する足掛かりを完全に失くす危険性のあった這い寄る混沌が為した策。オマエと俺を出逢わせる事に因って、長門有希に代表される人型端末たちや朝比奈みくるがこの世界に生き残る可能性を作り出した」
いや、おそらく奴らは生き残らせる為に彼女らの設定を作り出したのだと思われる。更に、俺がこの事件に関わって来る事も最初から知っていた可能性の方が高い。
流石に、何の手がかりも、足場もなしに混乱させられるほど、この世界は脆弱には出来ていない……と思う。世界の覇権を握る為に普段は凌ぎを削っているヘブライや、その他の神族に関しても、事、その関係の事件に関しては足並みを揃えられるのも間違いない。
……そうでなければ、奴らに取って不倶戴天の敵とも言うべき俺に対して加護を与える訳がない。ハルケギニアの事件に対して。
「この世界の……」
彼女も薄々は感付いているはず。自分がこの世界に産み出された意味を。
元々、彼女が信じさせられていた事実が欺瞞であった事。普通の人間であると信じて疑わなかった相手が、他者に自らの名前さえ知られる事もなく、更に偽名さえ使用する事もなく現代社会で暮らして行ける異常な存在である、と知った時。
そして、その人物と涼宮ハルヒが接触した瞬間に世界が……思念体が言うには世界が誕生した瞬間だった。地球に暮らす全ての生命体の立場から言わせて貰うのならば、世界が歪められた瞬間だった事を知らされた後には。
「俺と出逢って終ったこの世界の長門有希の役目は、俺と出逢う事」
出逢って終えば、俺は奴らの予測通りに行動する。悔しいがそう言う事。
当時の俺が、退魔師の基本から大きく外れた行動を取るとは考えにくい。更に、当時の有希が闇に染まった存在になっている可能性も非常に低い以上、俺が彼女と契約
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ