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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百六十二話 誘拐
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添えにしては後々帝国にとって大事になる」
「リヒテンラーデ侯、仰る事は分かりますが万一の場合にも備えなければなりますまい」
「……」
「誘拐犯達はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯と合流するはずです。そこでお二人は確保できる」
「しかしヴァレンシュタイン、そのときにはブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯は反乱を起しているのではないか?」
「その通りです、シュタインホフ元帥。ですから彼らにお二方を決して乱に巻き込むな、最悪の場合はこちらに落とせ、そう伝えましょう」
「……」
「フェルナー准将、ガームリヒ中佐とこれから誘拐事件について話さなければなりません。その際、万一の場合とことわって話しておきましょう」
「……止むをえんの」
溜息混じりにリヒテンラーデ侯が言葉を出した。
「捜査が進まないようであれば、警備を緩める事も考えなければならないでしょう」
「警備を緩める? 卿、何を言っている。それでは賊が逃げてしまうではないか、お二方も取り戻せんぞ」
俺の言葉にシュタインホフ元帥が訝しげに問いかけてきたが、此処は譲れない。
「余り追い詰めると犯人がお二人を殺してしまうかもしれません」
「!」
「……厄介じゃの」
リヒテンラーデ侯が呟き、皆が頷いた。
「ところで陛下の警護だがどうする。近衛は信用できんが」
「憲兵隊から人を出すほかあるまい」
シュタインホフ元帥の問いに顔を顰めたエーレンベルク元帥が答えた。無理も無い、近衛が信用できない、俺も顔を顰めたい気分だ。
「陛下だけでは有りません。宮中では必ず護衛を付けてください。それと武器の携帯もです」
リヒテンラーデ侯、エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、皆顔を見合わせ頷いた。最も安全であるべきはずの宮中が危険に溢れている、馬鹿げた話だがそれを機に打ち合わせは終息に向かった。
アントン・フェルナー、アドルフ・ガームリヒに連絡を取ると二人は直ぐにTV電話に出た。既に起きていたようだ。
「アントン、ガームリヒ中佐、事件の事は聞いているか?」
「ああ、アマーリエ様から聞いている。とんでもない事になった」
「済まない、こちらの不手際でお二方を攫われてしまった」
二人とも俺を責めなかった。その事が余計に辛く感じる。
「近衛に内通者が居たと聞いたが?」
「ああ、上手くしてやられたよ」
「エーリッヒ、これからのことも有る。会って話したいのだが」
「宇宙艦隊司令部に来てくれないか。私もこれから戻るつもりだ」
「分かった。では宇宙艦隊司令部で話そう」
TV電話を終えるとリューネブルク中将を呼んだ。
「中将、これから宇宙艦隊司令部に戻ります」
「フェルナー准将とお話をしていたようですが?」
「ええ、これから宇宙艦隊
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