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Blue Rose
第二十三話 完全にその十一

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「だから蓮見さんも本当にね」
「幸せになるべきだからですね」
「素晴らしい男の人を好きになってね」
「わかりました」
「そうしてね、それで幕末の人だと誰が好きかしら」
「そうですね、坂本龍馬が好きですね」
 親友である龍馬も思い出したが彼は友人として意識した。
「僕は」
「そう、あの人ね」
「格好いいですよね」
「ええ、毅然としていてね」
「あと福沢諭吉さんも好きです」
「学者さんね」
「はい、学者として立派なだけでなく」
 それに加えてというのだ。
「気さくで剽軽なところもあって」
「実はあの人は堅物じゃないのよ」
「面白い人ですよね」
「頭が固かったらね」
 福沢諭吉がそうだったらというのだ。
「あれだけ西洋の学問を取り入れていかないわ」
「積極的にですね」
「ええ、島津斉彬さんもだけれどね」
 幕末の薩摩藩の藩主だ、この人物が西郷を見出した。
「柔軟だったからよ」
「洋学を取り入れていったんですね」
「それも積極的にね」
「そうですよね、元々大坂の人で」
「ええ、あの人は大坂生まれよ」
 それで話す言葉も大坂の言葉だったという。
「そちらの文化の影響も大きかったと思うわ」
「そうですよね」
「江戸ではないわよ」 
 彼が開いた慶應義塾大学は東京にあるがだ。
「あの人はね」
「居合もされていて」
「かなりの腕だったそうね」
 剣道は武士がやるものとして嫌っていたという、下級武士の生まれであり上士達を見ていてそれで嫌いになったという。
「そちらも」
「文武両道でもあったんですね」
「そう、あの人もね」
「そういうお話も聞いてなんです」
「蓮見さんは福沢さんが好きなのね」
「はい」
 副所長にはっきりと答えた。
「そうです」
「そうなのね」
「色々と読んでいって」
「いいと思うわ、お札にもなっていますし」
「ずっと日本のことを考えていた人ですね」
「そうよ」
 脱亜論でも有名だがこの書では当時の清や李氏朝鮮の政権を批判したものだ。両国自体を批判したものでも国家同士の手切れを考えたものでもない。それを左右共誤解か意図的に自分達にとって都合のいいプロパガンダに悪用されては福翁も迷惑だろう。
「心からね」
「素晴らしい人だったんですね」
「私もそう思うわ」
「ですから僕も好きです」
「尊敬しているのね」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「僕も」
「いい人を尊敬しないとね」
 好きな異性と同じくというのだ。
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