第二十三話 完全にその三
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優花は副所長の部屋に行って実際に相談をした。既に服は女の子のそれになっていて外見も楚々としたものになっている。
その優花が自分の部屋に来てだ、副所長はまずは優しい微笑みを浮かべた。細面で赤い縁の眼鏡をかけた知的な美しさを持つ顔だ。黒髪を後ろで奇麗に束ねている。
その副所長が優花にさらに話した。
「よく来てくれたわ」
「はい、実は」
「女の子の身体、そして色々なことでね」
「具体的にどうしたことに注意していくべきか」
「岡島君に言われたのね」
「実は」
「そうね、それじゃあね」
副所長は知的な笑みのまま優花に答えた。
「これからね」
「お話してくれますか」
「こちらからとも思っていたのよ」
「副所長さんからですか」
「そう、お話をしてね」
そしてというのだ。
「知ってもらおうと思っていたのよ」
「そうだったんですか」
「来てくれたのなら都合がいいわ」
それならというのだった。
「それじゃあ今からね」
「はい、お願いします」
「まず言っておくわ」
副所長はその顔を真面目なものにさせて優花に言った。
「女の子で気をつけることは多いわよ」
「そうなんですね」
「そのことを言っておくわ」
「悪い男ですか」
「それも岡島君に言われたわね」
「実は」
「彼はね、そうしたことを言うのよ」
今度は困った笑みになる、わりかし表情豊かだ。
「よくね」
「そうなんですか」
「あれで心配性で世話をする性格なのよ」
「そういえば」
「貴女にもよく言ってきたでしょ」
「何かとよくしてもらいました」
「そうしたことをする子なの」
岡島、彼はというのだ。
「可愛い子よ」
「可愛いですか」
「私から見ればね」
教師が生徒に向ける笑顔も出した。
「そうなのよ」
「そうですか」
「だからね」
それでというのだ。
「貴女にもそうしたのよ」
「ですか」
「そうなの、けれど岡島君が貴女をここによこしたのなら」
「今からですか」
「お話しましょう」
「お願いします」
優花は部屋のソファー、テーブルを挟んで向かい合って置かれているそこに座らせられた。副所長はその前に向かい合う形で座ってだった。
話をはじめた、その話を聞いてそれが終わってだ。
優花は目を丸くさせてだ、副所長に言った。
「女の子は色々と大変なんですね」
「そうよ、男の子とはまた違う形でね」
「大変なんですね」
「女の子の方がずっと」
「いえ、男の子も同じだけ大変よ」
副所長は優花に優しい微笑みで話した。
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