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真田十勇士
巻ノ五十六 関東攻めその九

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「酒が抜けるな」
「はい、確かに」
「幾分か楽になります」
「だからですな」
「酒を抜く」
「そうしますか」
「そうじゃ、そして水を飲みつつな」
 そうしてというのだ。
「風呂にも入るぞ」
「そして風呂からあがれば」
「その時はですか」
「楽になっておる」
 酒が完全に抜けてというのだ。
「まさにな」
「成程、水に鍛錬にですな」
「そして風呂」
「その三つで酒を抜く」
「そうするのですか」
「そうじゃ、酒はこうして抜くのじゃ」 
 二日酔いになってもというのだ。
「当家のやり方じゃ」
「しかも鍛錬にもなる」
「水術のですな」
「馬に乗れば身体が動かす落馬しかねませんが」 
 二日酔いで身体が動かずにだ。
「しかしですな」
「水術はそうではない」
「下手したら溺れますが」
「浸かるだけでも酒は抜けますし」
 水の冷たさによってだ、そもそも川に入ることはそのことも狙いにあってそうするのだから当然のことである。
「水の方がよい」
「馬よりもですな」
「そうじゃ、では泳ぎ続けるぞ」 
 今はとだ、幸村は言ってだった。兄そして十勇士達と共にだった。
 泳ぎそれからだった、水を飲み風呂に入った。するとだった。 
 確かに酒はすっかり抜けていてだ、清海は風呂の中で言った。
「いや、もう完全にです」
「酒は抜けたな」
「はい」
 共に湯船、温泉のその中にいる幸村に答えた。伊佐も言う。
「いや、これでもう」
「今日は存分に動けるな」
「そうなりました」
「さて、これから飯を食い」
 猿飛も酒が抜けた明るい顔で言うのだった。
「出陣ですか」
「また直江殿とお会いしますな」
 穴山はこのことに期待している、顔にそれが出ている。
「お元気であればいいですな」
「うむ、直江殿はよき方」
 根津も彼について言う。
「お元気であれば何よりです」
「まあお元気であるから出陣されている」
 筧はこう言った。
「ならば心配は無用」
「そうじゃな、しかもこの度は前田殿も出陣されておる」
 海野は彼について言及した。
「あの方にもお会い出来るか」
「さて、槍の又左殿」
 望月はその前田家の主のことを言う。
「どういった御仁か」
「関白様も一目置く方だからのう」
 由利はこの話から前田について考えている。
「お会いするのが楽しみじゃな」
「ご家老の奥村助右衛門殿もかなりの方とのこと」
 霧隠は彼のことも考えている。
「お会いしたいな」
「うむ、出来ればな」
 幸村も十勇士達に応えて言う。
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