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暁ラブライブ!アンソロジー【完結】
大切な時間 【名前はまだ無い♪】
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、とハナは薬指を立てる。

「最後に友達とのお出掛け、と判断したのは花陽ちゃんが時々時計や携帯を見ていたから。恋人じゃないと思ったのは、そういった話をあまり耳にしなかったから。こんな感じでいいかな?」
「は、はい! ハナさんって凄いんですね!」

 ウィンクして締めたハナを、花陽は興奮したように見つめる。ハナは笑いながら頭を掻く。

「あははは、そんなに凄くないよ。花陽ちゃんもその内私みたいになれるって」
「なれますか?」
「なれるよ。それじゃあそろそろ時間だから、私はもう行くね」

 ハナの言葉に時計を見ると、確かに二人との待ち合わせ時間になっており、遠くからその二人が近付いて来るのも見えた。

「あ、あの、ハナさんの事を二人に、凛ちゃんと真姫ちゃんに紹介したいんですけど」
「私もね。二人に会いたい気持ちはあるんだけど、さっきも言った通り、時間が来ちゃったから。私行かなきゃ」
「それってどういう……?」
「それじゃあ、花陽ちゃん。今過ごしている時を大切にね。時は有限。それをどう使うかはあなた次第。元気でね」
「あの……!」

 花陽が言葉の意味を問おうとした時、不意に突風が吹き思わず目を閉じてしまう。そして目を開けた時、そこにはハナの姿は無かった。

































 目が覚め、最初に視界に入ったのは既に見慣れた天井だった。

「どうだった?」
「うん、懐かしかったよ。穂乃果ちゃんや絵里ちゃん、にこちゃん達には会えなかったけど、その代わりに私や凛ちゃん、真姫ちゃんと会えたから」

 ハナ……花陽はベッドに横になったまま、横に座っている恋人の青年に答える。

「そっか。それはよかったね」
「うん……でも、君には謝らないと、かな?最期の短い時間を、私の我儘で使っちゃって」
「それは違うよ! 僕こそ、僕の方こそ君に謝らないといけない。君の病気を治せなくて……」

 花陽は俯き、泣いている青年に細く、様々な管が付けられた腕を伸ばし、そっと涙を拭う。

「ううん……その代わり、あなたは私に……最期に最高の思い出をくれた……それだけで充分だよ……ただ、やっぱり、お別れは……寂しいね」

 青年は花陽の手を握る。

「でもね……μ'sの皆もそうだけど、あなたに会えて……私は……幸せだった、よ……」

 花陽はそう言うと、愛し愛された青年に看取られ、眠るように静かに、永い眠りについた。





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