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世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
21話 一夏VS鈴 その1
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かだったのに、なんで今度はそんなにうるさくなるんだよ観客席。それよりも、早く試合の案内をしろよアナウンス。

 口の中が乾燥して切れたような痛みが走る。呼吸がどんどん浅くなって、浅く早くなった呼吸が原因でその痛みが少しずつ早くなった。そこまで来てようやく自分の呼吸がおかしいことに気づいた。

 まだ、少しも動いていないのになんでこんなに呼吸が早いんだ。

「一夏っ!」

―――――――――

「……ねえ、織斑くん様子がおかしくない?」

「アナウンス入ったのになんで動かないの?」

「調子が悪いのかな?」

「もしかしたらアナウンスが聞こえなかった感じ?」

 一夏の様子を見て、少しずつざわめき出す観客席。鬼一とセシリアは涼しい顔でそれを眺めている。

 アナウンスがコールされ鈴が所定の位置に移動したのに一夏はまったく動かない。観客席からは分かりにくいが一夏は明らかに不調を感じさせた。

「……これは、入りましたわね……」

「……ここで躓くなら一夏さんはもうIS戦で未来はないでしょうね」

 セシリアと鬼一はそれぞれ感情を感じさせない声色で今の一夏を評価する。周りが不安そうに声を上げている中で、2人は冷静だった。

「おりむーはやっぱり……?」

 周りと同じように本音が不安を宿した言葉を漏らす。その言葉に鬼一は薄く笑ったまま肯定した。

「やはり、自分が感じたことのないプレッシャーを感じているんでしょうね。一夏さんは姉の名前を守ると公言してます。だけど、それを守るためには鈴さんを倒さなくてはいけません。でもこの前の僕と鈴さんの模擬戦、そして一夏さんはあの模擬戦を見直して理解してしまった」

「理解したって何を?」

「自分と鈴さんの実力の差をですよ。今の一夏さんなら結構正確に理解出来ているでしょうね。そして、その差をひっくり返せないとも思っているかもしれません」

「わたくしや鬼一さん、鈴さんは何度も敗北を味わっていますし、心の中で敗北がよぎったとしても経験でその対処が出来ます」

 そもそも敗北が掠めた程度で折れるようなヤワな人間でもない。その程度で折れるなら最初から舞台に立たない。

「一夏さんは多分、全力で立ち向かってそこから身も心も敗北に叩き込まれたことがないんでしょうね。じゃなきゃ始まる前からあんな体たらくを見せることなんて有り得ない」

 目も当てられないほどの敗戦を一夏は味わったことがないのだろう。味わった上で立っているのであればこのような醜態を見せることはありえない。もっと落ち着いた様相を見せるだろう。

「もし敗北を覚悟しているならその場に立っても平常心を保てますし、直接的な敗北が嫌ならそこに立たないという選択肢もありますからね」

「あの状
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