21話 一夏VS鈴 その1
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は今どんなことを考えていると思いますか?」
鬼一からの質問に他の3人はアリーナで浮かんでいる一夏に視線を向ける。
少しの間、考えてみる。
緊張? 興奮? 昔の知り合いと向き合うんだから嬉しさ?
でも、どれも違うような気がした。いや、間違っているとは思えないが、何かが足りなような気がする。
鬼一はクスクスと声を零している。既に答えを知っているようだ。隣のセシリアも困ったような苦笑を零している。どうやらセシリアも理解しているのは間違いなかった。
「……つっきー、ぎぶだよー」
本音のギブアップ宣言に対して清香と静寐も同じように「降参」と応えた。3人とも色々と考えてみたが、結局どれもこれもピンと来ない様子だ。
「……一夏さんは無謀なことをしますけど、怖いもの知らずなわけではありません」
表情に反して鬼一の声は笑っているものではなく、硬質なものだった。その声にセシリアも含めて身体に緊張が宿る。
鬼一のモノクロの視界に映る一夏の姿にはいつものような光を感じることはない。
「簡単ですよ。……プレッシャーです」
硬い声から一転、楽しみを含んだ声色。決して大きくはないその声がやけに大きく響いた。鬼一以外の4人だけじゃなく、5人の周辺の生徒もその声に思わず振り向く。鬼一はそれに特に気にした風もなく話を続ける。
「面白いことに頭で分かっていても心や身体はそうも行かないんですよね人間って」
今の鬼一はそれを理解している。そして、一夏の姿を見て一夏の調子がおかしいのも見抜いている。そして、その原因にも当たりをつけている。ある意味、自分の発言でこうなるのが予想出来ていた。
「自分だけの戦いじゃなくて、それ以外のものが関わった戦いって本当に苦しいんですよ。それこそ、さっきまで絶好調だったのに一気に絶不調になることも珍しくないです。プレッシャーというのはそれだけ凶悪な代物なんですよ」
果たして一夏にそんな経験があるだろうか? それに慣れている鬼一やセシリアでも容易に対処は出来ないものに対処ができるのだろうか?
「本来、焦ることなんて何もないんですけどね。でも自分に自信がないからプレッシャーを大きく受け取ってしまう」
ここまで来てしまえば、いくら焦ったところで現実には悪影響を与えることにしかならない。それだけ焦ったところですぐに強くなるというわけでもない。
「プレッシャーは跳ね除ける、なんて言う人がいるんですけどそれって戦ったことのない人の戯言でしかないんです」
鬼一にとってプレッシャーというのは切っても切り離せないと考えている。プレッシャーを無視することは出来るかもしれないが、それでは一定の状況でしか力を発揮することは出来ない。究極的には安全が保
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