21話 一夏VS鈴 その1
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まる。
―――っ!
―――なに!?
結果的に虚を突かれた両者であったが先に行動を復活したのは鈴。躊躇いなく一夏を蹴り飛ばした。正解かどうかは定かではないが。
両者が距離を取ったことで観客たちの呼吸も再開。
「……っ」
―――なんであんたが一番驚いてんのよ。大なり小なり、何らかの考えがあったからそういう行動を取ったんでしょうが!
怒り、というほどでもないが熱を持った感情が鈴の胸中に湧き上がる。
それに対して一夏は立ち直ったのか、先程までの慌てふためいた様子はもはやない。だが一夏の中にある何かはかき消すことは出来ていなかった。一夏はそれを知らない。未知の経験を受け入れ、対応することは難しい。それが戦闘中なら尚更だ。
鈴の感情が灯った龍砲が、再び轟音を立ち上げながら発射される。それに対して一夏は回避行動を取り続ける。しかし全てを躱しきることは出来ない。だが直撃も避けている。
一夏の考えが読み取れない鈴はイラつきが増していく。だが頭の中は冷えている。
―――……龍砲を撃たせ続けてエネルギー切れを狙う作戦? 龍砲の燃費の良さは一級品。そしてあんたは全てを避けることが出来ない以上、ジリ貧になるのはそっちが先よ。
龍砲で牽制しながらジリジリと距離を詰めていく。一夏も鈴のペースで距離を詰められるのは嫌なのか距離を取ろうとする。
だが、ここはIS学園のアリーナなのだ。
アリーナは一定の広さである以上、一夏の逃げるスペースは徐々に狭まれていく。スペースが無くなれば一夏は龍砲で嬲り殺しにされるだけだ。
「―――っ!」
―――あら? 攻めてこないくせにそういう部分は気になるんだ。
一夏も自分が追い詰められていくことを理解しているのか、端からの脱出を図るため白式の機動力を活かして鈴を迂回しようとする。
しかし、鈴も一夏を逃すつもりはない。相手を楽にさせて自分に得になる展開などそうはない。
一夏が鈴を迂回しようとするに対して、鈴は一定の距離を保ったまま龍砲を撃ち続ける。
そこで一夏が踏み込んできた。
一夏は我慢比べは出来ない。より正確に言えば零落白夜を使用していた時、我慢比べが出来る状態ではなかったのだ。その名残が残っている。我慢比べは必要なのだが、そこまでを一夏に叩き込むことは出来なかった。
一夏の踏み込みに対して鈴は笑みを濃くする。ようやく自分好みの展開になる気配を感じ取ったからだ。
葵と双天牙月が二度三度と交わるたびにアリーナに火花を散らせるが決定打に繋がる一撃はない。鈴はここで一気に試合を進めていいのだが、一夏にその気はない。両者の位置が変わったところで切り上げる。
壁に追い詰められかけてい
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