第一章 ハジマリ
第8話 不安
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」と微笑んで見せる。
天馬に心配かけまいとしての行動か、その表情はどこか無理をしてる様に見えた。
「アステリ」
「何?」
そんな彼に天馬は持っていたサッカーボールを差し出す。
唐突に差し出されたボールを前に、アステリはキョトンとした顔で天馬を見る。
「なんとかなる」
「!」
「絶対、なんとかしてみせる。俺、思い出したんだ。どんなに相手が強くても、怖くても、仲間がいれば絶対何とか出来るって事。だから、アステリも独りで不安と戦ってないで。俺等だってもう仲間なんだから。な?」
そう笑顔で天馬は言った。
その言葉は、アステリを元気づけさせる以外に、自分に言い聞かせる意味もあったのだろう。
試合の結果がどうなるかなんて分からない。
カオスの力だってどれ程の物か分からない。
百パーセント不安じゃないって言ったら嘘になる。
そんな彼だからこそアステリの感じる不安も、恐怖も、緊張も、痛い程分かったのだろう。
だから、彼は尚の事「きっと」や「多分」なんて不確かな言葉より「絶対出来る」って言った。
そう言えば本当に出来る気がしたから。
そんな彼を見るとアステリはゆっくり息を吐きだし、目を閉じる。
と何かを決心した様な声で「そうだね」と呟き、差し出されたボールを受け取る。
「……ボクもキミ達の"仲間"なんだ……いつまでも不安だなんて思ってられないね」
そう囁く様に話すアステリの眼差しは強く、先ほどまであったであろう不安の色も、どこかに消えていた。
「ありがとう。天馬。ボクも、天馬達の力になれる様、頑張るよ」
「あぁっ、一緒に戦おう。アステリ」
「うんっ」
アステリは強く頷いた。
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