第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#21
DARK BLUE MOONXIII 〜D・A・H・L・I・A〜
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き熾る精神の叫号。
(なんでも……できる……!)
失策の憂慮など感じる暇も無く、ただ己のするべきコトを成し遂げる専心のみが、
狂しい程に胸中を充たす。
(なんでもできる!!)
頬を打つ風など気にならない、その先に待つ破滅の墓標も眼に入らない、
ただ一つの揺るぎない想いだけが、少女の内と外で爆裂する。
“アナタの為なら!! なんでもできるッッ!!”
「!!」
「!!」
その次に起こった神異なる光景に、承太郎とアラストールは同時に息を呑んだ。
落下に伴う逆風の最中、重力に逆らうように捲き挙がっていた炎髪の火の粉が
螺旋状にシャナの背で集束し一瞬の発光の後、紅き波濤の如く燃え上がる。
そしてソレは炎で構成された翼の形容を執り、
重力に抗う能力を彼女に授ける。
その姿、正に神の福音を一身に受ける熾天使に相剋。
(“紅蓮の双翼” ……ッ!)
悠遠の彼方、己と共に在った者の姿を
アラストールが想い起こすのと重なるように、
「火の鳥、か……?」
承太郎も心中を衝いた印象をそのまま口に出す。
そして自分が落ちているコトも一瞬喪心していた彼の手を、
空間を支配する重力の悪魔から奪い取るように再び少女の手が掴み直す。
(もう離れない! 絶対絶対離さない!!)
自分の今在る状態すらもどうでも良く、シャナは哀哭のように繋ぐ手に力を込める。
しかし瞳を滲ませた彼女を、最愛の者の声が叱咤した。
「おい! 助けンならちゃんと助けやがれ!! “下に” 向かって加速してるぜ!!」
「うるさいうるさいうるさい!! 気が散るから黙っててッッ!!」
互いに声を吐き、刹那の間とはいえ正気を逸脱していたコトを諫めた少女は、
己の背に意識を集中しその延長線上に在るモノを己が全霊を以て可動させる。
舞い散る紅蓮の羽吹雪と共に、大きく展開する炎の双翼。
「――ッ!」
転進。
絶望的な速度で目下に迫っていた破滅の墓標が炎蒸爆発を起こして弾け、
下降線を描いていた周囲の空気が息の詰まるような上昇気流へと換わる。
ソレに伴って撒き挙がる硝塵のキラメキと共に、
炎の光跡で空間を灼きながらシャナは承太郎と共に目的の場所へと高翔した。
瞬時に視界に入る、二つの存在。
先刻の崩落で生まれた瓦礫の断崖を既に飛び越え、
蒼き爪牙をその腕に宿らせてラミーへと差し迫る亡霊のフレイムヘイズ。
(間に、合わない……ッ!)
心中を衝く悔恨、だが実際に口からでた言葉は。
「承太郎ッ!」
「おう!」
シャナの見た光景を同時に認識していた承太郎は既にスタンドを出し
彼女の黒衣をその幻象の腕で掴んでいる。
そし、て。
「オッッッッッッッラア
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